ダルビッシュはグルーポンの掘り出し物

 ヤンキースと7年契約1億5500万ドル(約161億2000万円)で契約合意に至った田中将大投手の契約金のあまりの高さから、レンジャーズが獲得したダルビッシュ有投手がいかにお得な物件だったかという特集をESPNダラス版が報じ、全米で話題になっている。

ダルビッシュ有はなんてお買い得だったんだ」と題した記事では、ダルビッシュは先週までの時点ですでにレンジャーズにとって最高の買い物だったが、田中の契約金などの詳細が明らかになるに連れ、グルーポン(割引クーポン共同購入サイト)の掘り出し物のように思えると報じられている。

 レンジャーズは2年前に6年契約5600万ドル、さらには契約の終盤に故障などがなければ400万ドルのボーナスを支払う条件でダルビッシュと契約した。当時のポスティング制度は入札金の一番高い球団が独占交渉権を手にできるシステムだったため、レンジャーズは日本ハムに5170万3411ドルを支払っている。これを合わせると総額は1億1170万3411ドルだ。

 一方、ヤンキースが田中の獲得に費やした総額は入札額の上限となった2000万ドルを合わせて総額1億7500万ドル。これを比較すると、昨年サイ・ヤング賞候補に選出され、メジャーを代表するエースとなったダルビッシュにレンジャーズが費やした金額のほうが、6000万ドル以上も安い。現在のレートで換算すると、実に約62億4000万円にも上る。

 さらに現在、一流の先発ピッチャーが手にしている超高額年俸に目を向けると、一層、ダルビッシュのお得感が増してくるという。

レンジャーズとしては最高にお得な補強だった

 ドジャースのクレイトン・カーショー投手は契約延長で年俸3000万ドル以上に。タイガースのジャスティン・バーランダー投手も年俸2570万ドル。マリナーズのフェリックス・ヘルナンデス投手は年俸2500万ドルだ。

 ダルビッシュは現状でカーショーに匹敵するとまでは言えないが、ア・リーグのエリートピッチャーであることは間違いないという。これら投手陣の年俸と比較するとダルビッシュの年俸1025万ドルがいかにお得かが分かる。また、日本ハムに支払ったポスティング費を年俸に加え、契約年数で割ったとしても年俸1850万ドル。それでもレンジャーズとしては最高にお得な補強だったと言える。

 そして記事ではメジャーのスカウト陣が、田中がダルビッシュほどの実力があるのか、という質問に「ノー」と声を揃えていることも紹介。田中は確かな実力があり、メジャーでも通用するが、ダルビッシュほどの投球のレパートリーはないとスカウト陣は見ているという。

 また、日本で田中の試合を数多く視察している、あるメジャースカウトのレポートを紹介。「田中は素晴らしいスタミナと集中力を持ち、グラウンダーの打球に仕留めるタイプの投手。速球は96マイルで球種はカーブ、スライダー、カッター、スプリッター。スプリッターは出色だ。全体的にはピッチングはメジャーで通用する。ボールで言えば、スプリッターはプラスだが、他のボールはそうでもない。彼の実力と上限はダルビッシュよりも低い。それでも、確かな実力を持っており、メジャーに挑戦する準備もできている」という内容だった。

 この証言により、現状では、田中はいい選手だがダルビッシュ(クラス)ではない、と分析。ダルビッシュの契約のお得感を一層、にじませていた。