米サンフランシスコ国際空港で起きた着陸失敗事故をめぐり、米国のテレビ局の報道が波紋を広げている。アシアナ航空は、操縦士の名前を見下す報道をしたとして法的措置を取る考えを明らかにしたが、米メディアは「悲劇的な事故に集中すべきだ」などとアシアナの対応を非難した。複数の韓国メディアが報じた。

 アシアナ航空は15日、事故機の操縦士の名前を人種差別的に報じ「会社の名誉を深く傷つけた」として、米FOX系の地元テレビ局KTVUを相手に民事訴訟を起こすことを決めた。KTVUは事故に関する報道で、操縦士の名前をSum Ting Wong(サムシング・ロング=何か間違えた)などと不正確な情報を伝えていた。

 ロサンゼルスタイムス(LAT)は16日付の記事で、アシアナの訴訟は賢明ではないと指摘した。記事は専門家にインタビューを行い、「訴訟によって人々はアシアナがなぜ悲劇的な事故に集中せずこのような問題に焦点を当てるのだろうか、と考えるようになる」との意見や、「放送局の行為は侮辱的で許されるものではないが、人が死んだことと侮辱されたことには大きな差がある」などの主張を伝えた。

 LATのオピニオン記者のひとりは、「アシアナは雰囲気を把握すべき」と題した記事で、訴訟を撤回するよう求めた。

 ワシントンポストは、訴訟を起こしてもアシアナが勝訴する可能性は低いとの見方を示した。記事は、「(KTVUの)報道が間違った情報を伝えアジア人を見下したことは事実だが、アシアナが受けた損害はなく、公的な対象に該当するため名誉毀損を立証することは難しい」と伝えた。(編集担当:新川悠)