「今日は×××でランチ食べましたー♪」
「お昼なう。×××のパスタです」

ツイッターやフェイスブックでよくある、その日の食事を写真付きで紹介する投稿――おそらく、見たことがないという人はいないだろう。

ところが、そんな「食事写真」投稿が、実は肥満などとつながる可能性があると主張する専門家が現れた。いったいどういうことなのか――

カナダの精神病医学者が研究を発表

事の発端となったのは、カナダ・トロント大学の精神病医学者ヴァレリー・テイラー博士が2013年5月1日、肥満に関する学会で行った発表だ。

SNSでの「食事写真」投稿は、日本だけではなく英語圏でも「Foodstagram(フードと画像投稿SNSインスタグラムをかけている)」という言葉ができるほど一般的なものになっている。テイラー博士はしかし、その行為にはまり込むことは危険だと指摘する。

「写真を撮るということは、その対象が撮影者にとって重要なものである、ということを意味します。食事の写真を撮ることに過度にのめりこむと、人によっては食べ物こそが頭の中で最優先事項になってしまい、それ以外のことがどうでもよくなってしまうことがあるのです」

もちろんこうした投稿をする人すべてが危ないわけではない。しかし1日3食、毎回毎回食事について投稿している――という状態が続くと、その人の頭に食についての「歪んだ」イメージを植えつけることにつながりかねず、結果的に摂食障害を引き起こす可能性がある、というのが博士の主張だ。

あくまで可能性の話ではあるが、この発表はかなり反響を呼んだ。英デイリー・メールや米ハフィントン・ポストなど有名メディアも相次いで取り上げ、食事投稿と肥満について盛んに書きたてた。

本人は意識せずに没頭している可能性大

こうした「食事写真」投稿は、「他人のランチなんてどうでもいい」などとして、各種のアンケートなどではSNS上での「嫌われる行為」として挙げられることも少なくない。その一方で、簡単に写真撮影できるスマートフォンなどの普及もあり、かなり一般化が進んでいると語るのは、ITジャーナリストの井上トシユキさんだ。

「私の周りでも男女世代問わず、食事のたびにスマホを取り出してパシャパシャ撮って投稿してますね。しかも完全に習慣化されていて、ほとんど無意識なんです。こっちが指摘して初めて、『ああ、確かにやってた』って。確かにのめりこんでいる人には、なんらかの形で心の不安を抱えている人が多いように感じます」

日本のネット上では、「食事って話題にしやすいだけじゃないのか」と首をかしげる向きも少なくないが、自分の体験を元に博士の見方に納得する意見もある。

「単身赴任してる時に暇過ぎてブログやってたんだけど、たしかに飯ばかりアップしてた 虚栄心とまではいかないんだけど、寂しさからくる満たされない自尊心というか誰かにかまって欲しいという欲求を埋めるためにやってた」