キム・ギドク監督「嘆きのピエタ」ベネチア映画祭で受賞の可能性が高い理由

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「嘆きのピエタ」第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で受賞の可能性高い

第69回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品しているキム・ギドク監督の新作映画「嘆きのピエタ」の受賞の可能性が、いつにも増して高いと見られる。

まず、キム・ギドク監督と今回のベネチア国際映画祭の執行委員長は、深い絆を持っている。“所信派”として知られているアルベルト・バルベラ執行委員長は、1999年から2年間ベネチア映画祭の執行委員長を勤めた人物だ。バルベラ委員長は2000年と2001年に、キム・ギドク監督の作品を映画祭に招待した。当時「魚と寝る女」と「受取人不明」がそれぞれ公式出品された。

複数の映画関係者によると、今年に再選出されたアルベルト・バルベラ執行委員長は、キム・ギドク監督の作品を出品させるために今年の初めから呼びかけたと言う。カンヌ国際映画祭への出品が有力視された「嘆きのピエタ」だが、カンヌ映画祭とライバル関係にあるベネチア映画祭の強い呼びかけが今回の受賞にも影響するとの観測である。

もう一つの理由としては「嘆きのピエタ」の上映スケジュールが挙げられる。8月29日〜9月8日まで開かれるベネチア国際映画祭の期間中「嘆きのピエタ」が上映される日は、閉幕2日前の9月6日だ。普通映画祭の受賞作が審査委員の好みによって映画祭の終盤に配置されることを考えると、「嘆きのピエタ」の受賞を予測することも可能だろう。

もちろんカンヌ国際映画祭に出品した「蜜の味 テイスト オブ マネー」を思い出す人もいるのだろう。「蜜の味 テイスト オブ マネー」もカンヌ国際映画祭の閉幕前日に上映され、受賞の可能性が高いと言われた。だが、「蜜の味 テイスト オブ マネー」の上映はフランスでの配給を担当した大手配給会社の影響もあったと思われる。「嘆きのピエタ」は、このような外部の要因から相対的に自由なだけに上映スケジュールから受賞の可能性を考えることもできる思う。

一方、今年のベネチア映画祭のコンペティション部門には、計18の作品が出品された。アジアでは、キム・ギドク監督の映画と北野武監督の「アウトレイジ ビヨンド」が出品しており、テレンス・マリック監督の「To The Wonder」、ブライアン・デ・パルマの「Passion」など、世界的な巨匠の作品が並んでいる。アメリカとフランスの作品がそれぞれ4本と5本で高い割合を占めている。

「魚と寝る女」と「受取人不明」、「うつせみ」に続き、4回目にベネチア映画祭の出品作に選ばれた「嘆きのピエタ」は、悪魔のような男(イ・ジョンジン)の前にある日、母親だという女(チョ・ミンス)が現れ、繰り広げられるミステリアスな事件を描いた作品である。映画祭ワールドプレミアの規定によって「嘆きのピエタ」は、9月6日に韓国で公開される。