市職員同様に教職員も橋下市長の改革方針で切り捨てられる人間が出そうだ。

 昨年、大阪市議会では「教育基本条例案」を、審議することなく廃案にした。しかし、この2月にも橋下市長が市長提案として再び審議される予定だ。

 ある自民党市議が言う。

「今の議会は市も府も『大阪維新の会にあらずんば議員にあらず』ですわ。このまま『職員基本条例』も『教育基本条例』も市議会で成立する公算大です」

 その「教育基本条例」は教職員にとっては手厳しい内容となっている。国歌斉唱時に起立する職務命令に3回違反した教職員は免職。また、教職員は人事評価で最低ランクの評価が連続すると、同様に免職となる。

 大阪市の公立中学校の30代の男性教師が言う。

「このままだと今年4月から、人事評価が始まりますわ。その覚悟はしていますが、納得できない部分もあります。『S・A・B・C・D』の5段階で評価されるわけですが、D評価を受けるのが毎年5%と決まっているんです。

20人に1人の割合で、必ず最低ランクの評価を受けることになる。査定をする校長に文句も言えへんですよ。だって、校長にゴマをすって高評価をもらえばいいわけですか

らね。僕なんか、たまに校長に対して文句を言うタイプやし‥‥。それだけやないです。仕事もしないで、5時になったらすぐに帰る同僚もいます。僕らは毎日、夜9時まで頑張っているのに、仕事をしない教員のほうが、校長の評価がよかったりしたら、辞めてしまおうかと思っています」

 教育現場が橋下市長に振り回されるのは、今に始まったことではない。府知事時代に打ち出した「私立高校授業料無償化」。そのため、府内の私立高校の定員は1・5倍となり、一方の公立高校は定員割れが続出しているという。

 ちなみに、「教育基本条例」では、3年連続で定員割れの公立高校は統廃合されるとなっている。

 府内の30代の公立高校教師はこう話す。

「統廃合は現実問題として、教員は戦々恐々とし始めています。統廃合されれば確実に教師の数が減らされるわけですからね。橋下さんは人件費削減のために私立高校無償化を始めたのではとさえ思えてきます」 かつて教職員といえば、安定した職業であった。大阪では、もはや最も不安定な職業と言えるかもしれない。市内の20代の公立高校教師が話す。

「私の場合、初任給から5%カットでしたわ。年齢によっては、最高で20%カットまであるらしいし、クビになるかもしれんし、ホンマに前途多難ですわ」