さらば、横浜
昨年から度々話題に上がっている東京放送(TBS)ホールディングスによる横浜ベイスターズの球団売却問題。今年も、携帯電話向けゲームサイト「モバゲー」を運営するディー・エヌ・エー社と交渉を進めてきたが、事実上の決裂に終わったことを関係者が明らかにした。
ディー・エヌ・エー社との事実上の交渉決裂について、TBSホールディングスの石原俊爾社長は、「売却先が見つからない場合は、当然うちが来年も持つ。ベイスターズのためになることを、と指示している」と言いつつも、「交渉の期限は考えていない。うちが決まったのも年明けだった」と、交渉リミットを設けない方針も明言している。
いまだ先行きが見えないベイスターズの行く末だが、TBSホールディングスが保有し続けるにしろ、売却先が決定するにしろ、ベイスターズは横浜から出て行った方がいい。12球団が本拠とする自治体で、横浜市ほど球団に非協力的な自治体はないからだ。
スポーツビジネスは、球団・クラブと、スタジアムの一体運営が理想とされている。球団・クラブと、スタジアムを一体で運営できれば、球団やクラブのビジネスチャンスは広がる。チームの順位や調子に依存しない球団・クラブ運営が可能になる。球場施設の周辺に屋台やパフォーマーを招いたり、施設内で販売されている飲食物・グッズを充実させる、球場のボール・パーク化などが、その好例だ。
このためプロ野球界は、自治体や都道府県からの、球場施設の管理・運営権の受託を目指している。
これまでにも、千葉ロッテマリーンズが千葉県千葉市からQVCマリンフィールドの指定管理者に選ばれた他、東北楽天ゴールデンイーグルスは都市公園法に基づく管理許可制度により、宮城県からクリネックススタジアム宮城の管理・運用を受託している。オリックスバファローズの本拠地、京セラドーム大阪は株式会社大阪シティドームが管理・運用しているが、この会社にはオリックスグループのオリックス不動産が出資している。埼玉西武ライオンズ、阪神タイガースにいたっては、自社グループで球場を保有している。
これに対しベイスターズは、横浜市から横浜スタジアムを間借りしている。オーナーとテナントの関係で、球団の裁量は制限されている。だから、横浜スタジアムには、魅力を感じない。
他球団が球場のボール・パーク化を志向していることは先に紹介したが、横浜スタジアムがある横浜公園内には、他球場では当たり前にある屋台や、パフォーマーによるパフォーマンスは無い。開場前に着いても、熱心なファンが開門を待っているだけだ。
球場内で売られている飲食物も、お世辞にも褒められたものではない。ビール、ラーメン、やきそば、カレー・・・どの球場でも売られている定番品ばかり。シュウマイ弁当は冷めてるし、中華弁当なら中華街まで足を伸ばした方がいい。
読売ジャイアンツの渡辺恒雄会長が、「横浜スタジアムの資質が悪い」と、切り捨てているが、まさにその通りだ。
昨年、ベイスターズの球団身売りが報道された際、横浜市の林文子市長が市を挙げた協力を約束したが、はたして何をしたのか。
横浜市との球団使用に関する契約は、入場料収入の25%と、広告・グッズの全収入が球場側に入るという内容。これらの収入は、球場を管理・運営する株式会社横浜スタジアムを通じ、横浜市に入る。さらに、単年での契約見直しを要求するベイスターズに対し、横浜市は10年間の長期契約を譲らない。これのどこが協力的なのか。
おそらく、横浜市にとってベイスターズは、有っても無くてもいい存在なのだろう。横浜市は国内有数の観光地。市内には中華街、横浜みなとみらい21、山下公園、 横浜赤レンガ倉庫、八景島シーパラダイスといった観光スポットが多数。スポーツ興行では、サッカーJリーグの横浜F・マリノス、 横浜FCが本拠を構えている。
そんな横浜には年間4,000万人以上の観光客が訪れているのだが、ベイスターズが撤退しても、横浜市には痛くも痒くもないのだろう。
米メジャーリーグでは、球団が本拠地移転を仄めかし、球場新設などで自治体から協力を取り付けている。
昨年開場したミネソタ・ツインズのターゲットフィールドでは、総工費5億4,440万ドルのうち72%、来年開場するフロリダ・マーリンズのマイアミ・ボールパークでは、6億4,500万ドルのうち76%に公的資金が注入された。
本拠地移転で脅すメジャーリーグのやり方には、賛否両論の声が挙がっている。だが、メジャー球団を抱えることで、自治体の知名度が向上し、経済の活性化に繋がる可能性が高い。メジャーリーグと自治体は、結果的に良好な関係を維持している。
TBSホールディングスが球団を保有し続けるのか、売却先が決まるのかは未定だが、ベイスターズも本拠地移転を武器に、横浜市に関係改善を要求すべきだ。それでも横浜市の対応が変わらないなら、横浜の冠を外せばいい。
横浜市は人口370万人を抱える、わが国最大の政令指令都市。そんな大都市は他には無いが、少なくとも横浜市以上に対応の酷い自治体は無いだろう。
本拠地移転は、地元ファンには心苦しいが、球団の持続的繁栄は、今の横浜市では難しい。
ディー・エヌ・エー社との事実上の交渉決裂について、TBSホールディングスの石原俊爾社長は、「売却先が見つからない場合は、当然うちが来年も持つ。ベイスターズのためになることを、と指示している」と言いつつも、「交渉の期限は考えていない。うちが決まったのも年明けだった」と、交渉リミットを設けない方針も明言している。
スポーツビジネスは、球団・クラブと、スタジアムの一体運営が理想とされている。球団・クラブと、スタジアムを一体で運営できれば、球団やクラブのビジネスチャンスは広がる。チームの順位や調子に依存しない球団・クラブ運営が可能になる。球場施設の周辺に屋台やパフォーマーを招いたり、施設内で販売されている飲食物・グッズを充実させる、球場のボール・パーク化などが、その好例だ。
このためプロ野球界は、自治体や都道府県からの、球場施設の管理・運営権の受託を目指している。
これまでにも、千葉ロッテマリーンズが千葉県千葉市からQVCマリンフィールドの指定管理者に選ばれた他、東北楽天ゴールデンイーグルスは都市公園法に基づく管理許可制度により、宮城県からクリネックススタジアム宮城の管理・運用を受託している。オリックスバファローズの本拠地、京セラドーム大阪は株式会社大阪シティドームが管理・運用しているが、この会社にはオリックスグループのオリックス不動産が出資している。埼玉西武ライオンズ、阪神タイガースにいたっては、自社グループで球場を保有している。
これに対しベイスターズは、横浜市から横浜スタジアムを間借りしている。オーナーとテナントの関係で、球団の裁量は制限されている。だから、横浜スタジアムには、魅力を感じない。
他球団が球場のボール・パーク化を志向していることは先に紹介したが、横浜スタジアムがある横浜公園内には、他球場では当たり前にある屋台や、パフォーマーによるパフォーマンスは無い。開場前に着いても、熱心なファンが開門を待っているだけだ。
球場内で売られている飲食物も、お世辞にも褒められたものではない。ビール、ラーメン、やきそば、カレー・・・どの球場でも売られている定番品ばかり。シュウマイ弁当は冷めてるし、中華弁当なら中華街まで足を伸ばした方がいい。
読売ジャイアンツの渡辺恒雄会長が、「横浜スタジアムの資質が悪い」と、切り捨てているが、まさにその通りだ。
昨年、ベイスターズの球団身売りが報道された際、横浜市の林文子市長が市を挙げた協力を約束したが、はたして何をしたのか。
横浜市との球団使用に関する契約は、入場料収入の25%と、広告・グッズの全収入が球場側に入るという内容。これらの収入は、球場を管理・運営する株式会社横浜スタジアムを通じ、横浜市に入る。さらに、単年での契約見直しを要求するベイスターズに対し、横浜市は10年間の長期契約を譲らない。これのどこが協力的なのか。
おそらく、横浜市にとってベイスターズは、有っても無くてもいい存在なのだろう。横浜市は国内有数の観光地。市内には中華街、横浜みなとみらい21、山下公園、 横浜赤レンガ倉庫、八景島シーパラダイスといった観光スポットが多数。スポーツ興行では、サッカーJリーグの横浜F・マリノス、 横浜FCが本拠を構えている。
そんな横浜には年間4,000万人以上の観光客が訪れているのだが、ベイスターズが撤退しても、横浜市には痛くも痒くもないのだろう。
米メジャーリーグでは、球団が本拠地移転を仄めかし、球場新設などで自治体から協力を取り付けている。
昨年開場したミネソタ・ツインズのターゲットフィールドでは、総工費5億4,440万ドルのうち72%、来年開場するフロリダ・マーリンズのマイアミ・ボールパークでは、6億4,500万ドルのうち76%に公的資金が注入された。
本拠地移転で脅すメジャーリーグのやり方には、賛否両論の声が挙がっている。だが、メジャー球団を抱えることで、自治体の知名度が向上し、経済の活性化に繋がる可能性が高い。メジャーリーグと自治体は、結果的に良好な関係を維持している。
TBSホールディングスが球団を保有し続けるのか、売却先が決まるのかは未定だが、ベイスターズも本拠地移転を武器に、横浜市に関係改善を要求すべきだ。それでも横浜市の対応が変わらないなら、横浜の冠を外せばいい。
横浜市は人口370万人を抱える、わが国最大の政令指令都市。そんな大都市は他には無いが、少なくとも横浜市以上に対応の酷い自治体は無いだろう。
本拠地移転は、地元ファンには心苦しいが、球団の持続的繁栄は、今の横浜市では難しい。
バックスクリーンの下で 〜For All of Baseball Supporters〜
野球は目の前のグラウンドの上だけの戦いではない。今も昔も、グラウンド内外で繰り広げられてきた。そんな野球を、ひもとく