統一球で始まったプロ野球新時代|2011年NPBペナントレース

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4月12日の開幕から約50日が経過した。各チームの試合数は35〜39試合。まだ全試合数の3割も消化していないが、統一球によって野球は確実に変化していると思う。

まずは数字の羅列を見ていただく。
過去7年間の1試合当たりの単打、二塁打、三塁打、本塁打と、平均塁打(塁打÷単打)。セパ両リーグ。

2011年は長打も単打も数値が落ちているが、本塁打が極端に下がっているのに対し、他の種類の安打はそれほど落ち込んでいない。平均塁打は長打の目安となる指標だが、全体としての落ち込みは、本塁打ほどひどくはない。
これをグラフにしてみる。セパ両リーグの平均塁打と1試合当たりの本塁打の推移。



平均塁打は“誤差の範囲”というふれ幅だが、本塁打の落ち込みは両リーグともに明白である。
これだけでは統一球の問題なのか、他の要因(投打のパワーバランスなど)も絡んでいるのかわからないという意見もあろう。
そこで、イースタンリーグ、ウェスタンリーグの平均塁打と1試合当たりの本塁打の推移のグラフも見る。



見事にグラフの形が一致するのである。本来勢力地図、パワーバランスが違うはずの4つのリーグで、同じような形を描くと言うことは、共通するファクターが変化したことを意味しているはず。それは「統一球」しかないのだ。
試合を決める要因としての「一発」の比率は、相対的に下がっている。その代わりに出塁率の重要度が増している。得点をあげるためには、塁に出ること。そして塁を取ること。スモールベースボールが復権するのではないかと思う。そして選球眼のある選手が存在感を増すのではないかと思う。

統一球によって、野球は確実に変わっている。そのことを理解し、適応するチームが勝ち残ると言うことだ。今後も推移を見ていきたい。