北京大学教授が、地震対応に現れた日本人の国民性を詳解 第5回

 香港のテレビ局「鳳凰衛視(フェニックステレビ)」の教養番組「世紀大講堂(毎週土曜14時10分〜15時放送)」にこのたび、中国人の日本文化研究家が登場。北京大学国際関係学院の尚会鵬教授が、約50分間に渡って独自の日本人論を語った。尚教授はこれまで『中国人と日本人』、『日中間の文化衝突と事例研究』などの著書を上梓(じょうし)している。以下、尚教授の発言をかみ砕いて抜粋、紹介する最終回。

<「脱米入中」の可能性>

 (質問者B「日本というのはアジアの国でありながら、西洋の国のようでもありますよね。これが様々な問題を生んでいると思うのですが、日本がアメリカを離れてアジアに帰ってくるということはないんでしょうか?」)

 「歴史的に見て、日本は自分自身が体制の中心になるということはないんです。古代は中華世界の体制に属し、近代では西洋に学んだ。その後アジアの中心になろうとしたが失敗し、戦後は再び西洋に接近。今ではアメリカ、すなわち西洋の体制下にあります。今後中国が力を伸ばしていった場合、古代東アジアの体制でもなく、アメリカ中心の現代の西洋の体制でもない、新しい体制が形成できる可能性があります。日本が今の体制を抜けて新しい体制に入るかどうかは、次の2点がポイントになると思います」

 「1つは、新しい体制が日本を保護できるだけの十分な力量を持っていること。もう1つは、文化的な面での吸引力があることです。現段階では、中国は日本に対して十分な文化的吸引力があるとは言えませんよね。経済力や軍事力だけでなく、文化面での力をつけることも、これから大事になってくるでしょう」

<マンガ・アニメ発展の理由>

 (質問者C「日本のマンガやアニメは中国の若者にも大きな影響を与えていますが、日本のマンガやアニメがこれだけ発展したのはどういう国民性や文化によるものなのでしょうか?」)

 「日本人というのは、何かを学習するということが非常にうまいんですね。外国に進んだ思想や考え方があると、日本人はすぐにそれを取り入れて細かく研究し、吸収する。日本人というのは、知識に飢えた中学生のようなものなんです。マンガやアニメの発展も、こうした国民性と関係があるのではないかと思います」

<憂鬱で悲観的な日本人>

 (質問者D「日本では自殺率が高く、人間関係も徐々に希薄になっているそうです。このことについて、どのように解釈されますか?」)

 「これは日本人の国民性と関係があると思いますね。日本人の心の中には、憂鬱で内向的、悲観的な面があるんです。人間関係の希薄さも、そういう性格と関係があるのでしょう。家族からの社会的バックアップがないことや、一度社会から捨てられるともう誰も守ってくれないことなどが、日本人の人間関係の特徴です。しかも近年は個人主義が進んで、会社内の人間関係も希薄になっています。もともとの国民性と人間関係の変化のため、自殺率が下がらないのでしょう」(編集担当:西谷格)



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