韓国のパワースポットに日本人殺到、観光地化に賛否

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特別な“場”から気をもらうという女性に人気のパワースポット巡りが、韓国の観光地にまで飛び火した。だが人気を集客のチャンスと考える側と、歴史的な背景を重視する側とで、新たな議論が巻き起こっているようだ。

韓国観光公社は28日、日本の女性を対象に、韓国の古宮や朝鮮王陵など風水をもとに建設された観光名所を、「パワースポット観光コース」として展開すると発表した。韓国の古宮には最近、パワースポットを求める20―30代の日本人女性が多く訪れているといい、観光公社は「韓国のパワースポット」を売りに、日本人女性たちの集客をさらに増やしたい考えだ。

「韓国パワースポット」の観光コースでは、昌徳宮(チャンドングン)、宗廟(チョンミョ)、景福宮(キョンボックン)、王陵(ソンルン)などソウル市内の古宮や朝鮮時代の王の墓をはじめ、馬耳山(マイサン)塔寺、麻谷寺(マコクサ)、梵魚寺(ボモサ)など韓国の風水名所を訪れる。

しかし、このような観光商品化について、「歴史を忘れている」と批判の声もある。韓国メディアによると、日本植民地時代に昌慶宮(チャンギョングン)は動物園や植物園に変えられ、昌徳宮は本来ひとつであったものを道路を通して宗廟と分けられた。徳寿宮(トクスグン)は公園になり、景福宮は博覧会の会場として利用されていたるところを傷つけられたという。

民族問題研究所のパク・ハンヨン研究室長は「過去の歴史を正しく知ってから訪れるべき。日本が過去に起こした過ちを反省し、悲劇を繰り返さないという歴史教育の場にならなければいけないのだが…」と語る。

日本人女性に人気のパワースポットめぐりだが、韓国メディアYTNニュースは「日本が昔、韓国のパワースポットにどう関わったのか理解することが必要。それが先でなければ、パワースポット観光の意味は不十分だろう」とした。


参照:韓国観光公社公式サイト
参照:観光公社「韓国古宮の気を売ります」 - ASIA TODAY
参照:古宮の変身…歴史を忘れた明堂観光? - YTNニュース

(文:林由美)

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