6日のチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のアーセナル戦セカンドレグで4ゴールの離れ業を演じたリオネル・メッシ(バルセロナ)。ゲームセットのホイッスルとともに、試合球を大事そうに抱えて持ち帰るようすが印象的だったが、それもそのはず、メッシにとって公式戦で4ゴールをマークするのはこれが初めてだった。フランスのレキップ紙が報じた。

 たんなる個人的な記録にはとどまらない。CL決勝トーナメントでの1試合4ゴールも史上初。さらにはリバウドがバルセロナで記録したCLでの通算得点記録22ゴールを一気に抜き去り(25ゴール)、クラブの歴史にも偉業を刻み込んだ。

 ラテン語圏でメッシの名は救世主(メシア)を容易に連想させるが、この日の活躍はまさに神がかり的。レキップ紙は「神はカタルーニャ(バルセロナを中心とする自治州)に住む」と見出しを掲げ、これから長く語り継がれるであろう伝説を記録した。

 レキップ紙は、翌日の試合評でメッシに文句なしの10点満点をつけた。同紙が10点をつけることはきわめてまれだ。採点が辛いというよりも、満点はあくまで、あるかないかわからない“完璧な試合”にとっておく象徴的な数字といえた。たとえば、リーグ・アンで今シーズン最高点を得ているレンヌのMFマルヴォーは平均6.13点。これまで1試合の最高は9点で、その栄誉に浴したのも、パリ・サンジェルマン戦でスーパーセーブを連発したロリス(リヨン)らわずか5人に過ぎない。

 この日の4得点で、昨シーズンの自己記録(合計38ゴール)をすでにひとつ超えたメッシ。昨年のバロンドール受賞がキャリアのピークでないことをはやくも証明しつつある。敵将のヴェンゲル監督が「バルセロナはメッシだ」と舌を巻いたように、メッシを止めなければ、バルセロナも止まらない。止められないメッシをいかに封じ込めるのか。CL準決勝の相手となるインテルのモウリーニョ監督が練るであろう“秘策”に注目だ。