ユーロ2008予選グループEの2位を賭けたロシア対イングランドの一戦が17日にモスクワ行なわれ、5連勝で予選突破に王手をかけていたイングランドが1-2で敗戦した。この結果、イングランドは自力での予選突破の可能性が消滅。ホームで大金星をあげたロシア代表のフース・ヒディンク監督は試合後、「狙い通りの展開」と、してやったりの表情で試合を振り返った。

 グループEの大一番となった一戦は、29分にFWウェイン・ルーニーが華麗なボレーシュートを沈めてイングランドがリードを奪う。その後も終始試合をリードしたイングランドに対し、ロシアのヒディンク監督はハーフタイムにDFを一人削り、攻撃的MFドミトリ・トルビンスキを投入。さらに、58分にはFWアレクサンドル・ケルジャコフに代えて、スパルタク・モスクワのエースストライカー、ロマン・パブリュチェンコを起用すると、この交代策が的中。トルビンスキが攻撃陣にリズムをもたらすと、パブリュチェンコが69分にPKを沈め同点。さらに、4分後にもゴールを奪い2-1の逆転に成功する。試合はこのまま終了し、ロシアは貴重な勝点3を獲得。指揮官のヒディンクは「戦術がうまく機能した」と語るなど、予想通りの展開で勝利を収めたと語った。

「ハーフタイムに、『DFにプレッシャーをかけろ』と指示を送った。イングランドの守備陣はプレッシャーに弱いからね。戦術的には、非常に満足している。ツートップには、前半からソル・キャンベルとリオ・ファーディナンドのセンターバックに加え、(左サイドバックの)ジョレアン・レスコットにもプレッシャーをかけるよう指示していた。そしてハーフタイムには、DFに代えてクリエイティブな選手を投入することで、よりプレッシャーを強めた。予想通りの効果が得られたよ。イングランドの守備陣は脆弱だった。MFのジョー・コールをサイドバックの位置に貼り付けることが出来たほどだ。彼らにダメージを与え続けることができた」

 アウェイの地で痛恨の敗戦を喫したイングランド代表。FWウェイン・ルーニーのファウルで与えたPKについて、スティーブ・マクラーレン監督は「あのファウルはエリア外だった。明らかな誤審だ。それまでは試合を完全にコントロールしており、危険な場面もまったく無かった。しかし、あの判定で流れが変わってしまった…」と怒りを露にした。勝点23で2位をキープしたイングランド代表だが、残りは首位クロアチアと対戦する1試合のみ。勝点21で3位につけるロシアが残り2試合を連勝すれば、予選敗退が決定する。策士ヒディンクの術中にはまったイングランドは、ロシアの取りこぼしを祈るほかない苦境に追い込まれてしまった。