メガ化は必至? 消費者金融 プロミスと三洋信販経営統合へ
消費者金融業界第3位のプロミスと第5位の三洋信販が経営統合することで検討に入った。2007年7月19日から同20日にかけて朝日新聞など各紙が報じた。経営統合が実現すれば、貸付残高で2兆320億円となり、アイフル(1兆9,852億円)を抜いてトップに躍り出る。要因は、過払い金訴訟の急増とグレーゾーン金利の撤廃を盛り込んだ貸金業法の成立、ジワリと上がってきた市場金利がある。消費者金融も銀行などと同様に、コストの削減効果を求めて「メガ化」に走り始めるのか。
調達コストの上昇で、利ザヤはさらに薄く
アイフル、アコム、プロミス、武富士の消費者金融大手4社の07年3月期決算が1兆7,500億円の赤字になった最大の要因は、利息制限法の上限金利(年15〜20%)を越える融資について、利用者からの過払い金請求が急増しているため。アコムをはじめ各社は、貸出金の金利を年18%に引き下げるなど、いま以上に過払い金訴訟が広がらないよう対策を講じ始めている。「早く(過払い金問題と)決別することが建て直しの条件」(大手消費者金融の幹部)という。
また、金利が上昇局面に入ったことで資金調達コストも上昇。グレーゾーン金利の完全撤廃は2010年だが、貸出金利の上限を20%以下に抑える必要が出てくるので、利ザヤはさらに薄くなる。来期の業績見通しでは、店舗や人員削減の効果で黒字転換を見込んでいるが、「基本的には収益見通しが暗い」(大手消費者金融の幹部)。それが消費者金融の「再編圧力」になっている。
大手消費者金融4社の資金調達で、期中平均の調達金利は1.47〜2.20%(06年3月期)と抑えているうえ、固定金利での調達比率が85.7〜97.4%と高い。ただ、「低利、固定」での調達が可能な消費者金融はメガバンクのグループ傘下のアコムやプロミスであり、アイフルや武富士は社債等の直接金融のウエートを高めている。
大手4社の銀行借り入れの比率の平均は61.8%だが、アイフルは56.3%、武富士は59.4%で、アコムとプロミスは60%を超えている。三洋信販に至っては、銀行借入の比率が49.6%と直接金融の割合のほうが高かったほどだ(TAPALS白書2006、消費者金融連絡会調べ)。
長期金利が上昇し調達コストがジワジワと高まっていくなかで、貸出金利の上限は抑えられてくるので、収益環境はさらに厳しくなる。
「ディック」「レイク」の外資系は、徹底したリストラ策でしのぐ
プロミスと三洋信販の経営統合について、ある消費者金融の関係者は「他社の目から見ても経費削減効果は大きい」という。消費者金融各社は、店舗や人員削減といったリストラ策で、08年3月期は黒字を確保する見通しだが、「本当に苦しくなるのは、しぼれる材料(店舗や人員)が尽きたとき。これからはリストラのための統合・合併が増えてくる」(同氏)とし、プロミスと三洋信販はその先駆けとみている。
収益的なダメージを受けているのは大手だけではないし、むしろ中堅以下の消費者金融のほうが死活問題。大手消費者金融にはすでに、「(合併や提携等の)打診がある」という。
ただ、同業他社との統合、つまり規模拡大だけ統合はあまり魅力がないようで、クレジットカードや信販会社との関係強化をさぐっている。
「ディック」を運営する米シティグループ傘下のCFJや、「レイク」のGEコンシューマーファイナンスの外資系は、大幅な店舗と人員削減など事実上の撤退を思わせる徹底したリストラ策で現状を乗り切ろうとしている。別の大手消費者金融の関係者は「ギリギリまでしぼった経営で嵐が過ぎるのを待つといたところ。消費者金融事業そのものは資金需要がないわけではないので、完全撤退ということは考えにくい」というが、条件によっては売却の可能性も少なくない。
いずれにしても、「規模拡大」と「銀行との関係強化」が生き残りのカギを握っていそうだ。