電話番号覚えられない!携帯は「バカ量産」の主犯か
携帯電話の利用が記憶力を低下させる、とする調査結果が2007年夏に相次いで発表された。集中力低下と携帯メールの使い過ぎを結び付ける「メール脳」という批判的な言葉もある。機械の記憶に頼りっぱなしのままで本当に大丈夫なのか。
端末ユーザー世代は記憶能力が低下している?
ロイターは07年7月13日、アイルランドの大学教授らが英国人3,000人を対象にした調査結果を報じた。記事では、携帯電話などの端末ユーザー世代は「自宅の電話番号や家族の誕生日など単純な情報を記憶する能力が低下していることが明らかになった」とした。また、回答者の25%が自宅固定電話の番号を覚えておらず、友人や家族3人以上の誕生日を思い出せなかった人は3分の2に上ったと報じた。ダブリン大学教授の「現代社会で、記憶を技術に頼るようになっている」とのコメントも伝えている。
6月28日には、NTT−BJ(NTT番号情報)が「電話番号に関する意識調査」を発表した。ネットで400人を調査したものだ。発表によると、「ここ数年で電話番号を覚えられなくなった」と答えた人が80.5%に達した。「記憶を(携帯電話の)メモリに頼り、手を動かさないばかりに記憶が出来ない現代人の姿が浮かび上がります」との分析も付けている。また、恋人の電話番号を覚えている、と回答した未婚女性は7.4%に過ぎず、未婚男性も覚えているのは15.1%だけだった。
7月16日に携帯電話と記憶力の関連に触れたmixi(ミクシィ)日記のコメントには、「自分の携帯番号でさえ覚えていないという悲惨さが・・・」「確かに記憶力低下しているかもしんない」などと同調する声が寄せられていた。また、読売新聞夕刊(7月10日)コラムで鈴木美潮記者は、かつては支局や警察署の電話番号を手帳を見る必要もなくプッシュボタンで押すことができたが、「今や携帯のメモリーに頼っりぱなしの自分に驚く」と明かした。「機械の記憶に頼りっぱなしのままでは、『人間力』は落ちる一方ではないだろうか」と不安をもらしている。
メール多用する中高生の脳波は痴呆と同じ状態?
「ケータイが記憶力低下を招く」は本当なのだろうか。「ゲーム脳の恐怖」(NHK出版)の著書もある森昭雄・日本大教授が2004年に公表した調査結果によると、携帯電話でメールを多用する中高生の脳波が痴呆のお年寄りと似た状態になっていたという。中高生たちは、教科書を10分間以上集中して読めず、簡単な漢字が思い出せないなどの傾向があったとしている。
ある元大学関係者は、授業中にノートをとるためにケータイを使って漢字を探している学生が多いことを明かし、漢字についての記憶が極端に落ちているため「携帯はバカを増やしているのではないか」と話している。
一方で、ライブドアのあるブログ(7月13日)は、「メモリー発信するので覚える『必要』もない」と反論した。必要性の有無の問題で記憶力とは別だ、という訳だ。記憶力調査なら、無関係の数字を記憶させ、その結果を検証すべきだと主張している。「メール脳」や「ゲーム脳」という言葉で、記憶力や集中力の低下と携帯電話などを結びつける考え方には、以前から「科学的ではない」などと批判も根強い。06年秋のネットQ&Aサイト「OKWave」では、「『新しいもの=悪いもの』であるかのように主張する人や、それらを面白おかしく報道するメディアの体制もある意味問題かと思います」との意見が載っていた。「『自分が知らない文化』に対する恐怖によって、バッシングに走る、という行為は昔から沢山あります」という別の人の意見もあった。
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