Q&Aサイトには、ネットオークションを巡り数々の質問や不満が寄せられている

   「Yahoo!オークション(ヤフオク)の電話相談窓口はないのか?」「電話番号はなぜ公開しない?」。ヤフーに対するこんな疑問や不満がインターネット上で噴出している。怒りを増幅しているのは「お問い合わせはメールで」で済ます姿勢だ。もっともこれはヤフーだけの話ではない。電話番号そのものを掲載していない企業が増えているのだ。

   「どういう請求なのか知りたい。オペレーターとつながるヤフージャパンの問い合わせ先がありましたら教えてください」。「教えて!goo」の2007年1月に投稿された質問だ。ほかにも「ヤフオクのことでメールではなく電話で問い合わせしたいのですがヤフーの電話番号ありますか」「ヤフオクで困ってます」「詐欺に合いました」「身に覚えのない請求がありました。オペレーターとつながるヤフーの問い合わせ先がありましたら教えてください」など電話番号を巡る疑問、質問が多数寄せられている。

「最適な体制を取っている」

 

   ヤフージャパンの広報によると、オークションだけでなく部門ごとの電話問い合わせ先は原則公開していない。電子メールでやりとりすることが、質問内容を正確に把握し、明確に返答する意味で一番いいと判断している。本社の電話番号は「どこかで公開しているはず」というが、ホームページの会社概要やNTT電話番号案内には公開していない。

   メールでの質問は24時間体制でチェックし、早ければ数時間、遅くとも原則24時間以内に回答するようにしているそうだ。「(利用者が)ご満足頂けるかどうかが問題で、現在最適な体制を取っている」といい、メールか電話か、は重要ではない、と指摘する。

   「満足していない声や批判がネットに寄せられているが」との質問には、「ご批判には真摯に反省し、ヘルプページの充実やメールでの返事の向上などを常に検討している」と答えた。本社代表番号を「割り出して」かけてくる人もいるが「メールでのご質問を」と対応している。

   同じオークションサイトを運営する楽天にもQ&Aサイトで「楽天オークションで取引後、入金されず、メールを送ったが回答はきていない」と嘆く相談が寄せられている。楽天の広報は「回答がない、はずがない」と反論する。基本的にメールでのやりとりを行い、メールが届いたものから順番にできる限り早く対応しているという。複雑な案件の場合はどうなるのか。「個別案件については個別に検討するものの、基本はメールのやりとり」と答えるに止まった。電話での問い合わせを受けることについては、(1)利用者とのやりとりを正確にできる(2)電話だと混んでつながらない場合があることなどから、「メールでの対応を近々変更する予定はない」という。しかし「必要があれば柔軟な対応は検討していく」と含みを残した。

   KDDIなどが開設する「auオークション」。トップページ最下段に電話番号が表記してあった。電話すると、音声ガイドの後オペレーターが出てきて用件を告げるとさらに別のオペレーターに回された。「この番号は、メールでお問い合わせを頂くため、ページのどこを見るとメール問い合わせの場所があるかをお教えするものです」と女性が話した。

   短時間に解決しなくてはならない場合や、責任者と話さないと埒が明かない場合など電話での問い合わせが必要なことはある。企業はクレーム処理が面倒でコストがかかるため、電話での接触を断ちつつある。これでいいのだろうか。

   ネット通販で扱い品目を拡大させているアマゾンジャパンは2006年11月、従来のメールの問い合わせ欄の下に「電話での問い合わせ」欄を新設した。自分の電話番号と希望時間を入れるとアマゾン側からかかってくるというものだ。アマゾンは「お客様が安心して満足できる環境を作ろうとする活動の延長として導入しました」という。

「不満」汲み取る能力次第

   電話での直接的な問い合わせを認めない企業の姿勢について、「企業のためのクレーム処理と悪質クレーマーへの対応」の著書がある弁護士の森山満さんは「本音はしつこく激しい物言いをする人を避けたいのでしょう」と解説する。メールのやりとりの方が楽で効率的な面もある、と一定の理解を示した上で「しかし、最後までメールだけでは不満が残る利用者も出るでしょう。電話対応を織り込んだ方が有効な場合もある」と話した。どうするかは企業が利用者の不満をどう汲み取るかの能力次第という訳だ。