日興株TOB価格を一時突破 再建計画にも影響
シティグループが株式の公開買い付け(TOB)を行っている日興コーディアルグループの株価が、シティが提案したTOB価格(1,700円)を突破し、上昇を始めた。2007年4月6日は一時、前日終値比20円高の1,720円まで値を上げた。日興の筆頭株主の外資ファンドが「シティの買い付け価格は著しい過少評価」などと批判し、TOB価格引き上げを求めているためだ。シティは当面、静観の構えだが、26日締め切りのTOBの結果いかんでは、シティの子会社を目指す日興の再建計画にも影響するだけに、予断を許さない状況が続きそうだ。
外資ファンドが抵抗、日興株一気に買われる
シティのTOBをめぐっては、動きが目まぐるしくなっている。日興株は3月15日にシティがTOBを開始後、一時、1,699円とTOB価格に迫ったが、4月上旬まで1,680円台で推移していた。日興の発行済み株式総数の約5%を保有するみずほフィナンシャルグループや約1%を保有する第一生命保険など国内の大株主が、日興支援のためTOBに応募する方針を固めたほか、エーザイ、小田急電鉄、住友倉庫など国内企業も同調する姿勢を示したためだ。日興の上位1〜4位を占める外資ファンド(合計で約25%)が反対しても、過半数の取得を目指すシティのTOBは成立するとの見方が有力だった。
ところが、その外資ファンドが抵抗戦術に出た。日興の筆頭株主で約6%を保有するオービス・インベスト・マネジメントが3日までに「日興株を1,900円で、即座に東証に指値売り注文を出す」などと発表。直後の6日に、みずほコーポレート銀行など大手邦銀がシティに最大1兆7,000億円の融資枠を設定することが明らかになったことから、「シティがTOB価格を引き上げるのではないか」との思惑が市場に広がり、日興株は一気に買われたという。
TOB価格引き上げはあるのか
シティが公表したTOBの成立条件は、日興株の過半数の取得で、万一、応募が50%超に達しない場合は「ご破算」となる。日興株の外国人投資 家の保有比率は約55%と高く、「日興の株価がTOB価格を大幅に超えて推移した場合、シティはTOB価格を引き上げざるを得ないのでは」との見方が強い。
シティバンク在日支店のダグラス・ピーターソン最高経営責任者(CEO)はマスコミ各社のインタビューに対して「TOBの成功に自信を持って いる。TOB価格を引き上げるつもりはない」と答えており、当面は市場の動きを静観するとみられる。いずれにせよ、シティのTOBの締め切りとなる26日 近くにならなければ、今回のTOBの成否はわからない。日興の株価が外資の圧力をきっかけにこのまま上がり続け、シティが見直しを迫られるのか。シティのTOB価格に市場価格が再び収斂されていくのか。市場の反応を最も気にしているのは、シティにすがる日興自身かもしれない。