スチールホイールのメリットは価格の安さ

 最近では純正装着でもアルミホイールが当たり前に。グレードによって径が違うといった差別化が図られている。もちろんスチールホイール、通称「鉄チン」を装着するクルマはあるが、商用車か実用車の下級グレードといったところ。

 その昔はアルミホイールを装着しているのは上級グレードのみだったり、スポーツカー全盛の頃は、どうせ替えてしまうだろう、ということでノーマルで鉄チンを装着しているクルマもあり、AE111のレビン/トレノがそうだった。現状を見ると、以前よりも装着率は確実に下がっているのだが、そんなに鉄チンは悪者なのか? メリット、デメリットをまとめてみた。

 スチールホイールのメリットはまずなんといっても、価格が安いということ。現状ではこれに尽きるかもしれない。

 また平らなホイールキャップを付けた場合は、空力に有利になることもある程度。トヨタ・プリウスやスバル・レヴォーグのようにアルミホイールにカバーを付けてできるだけ平にした例もある。あとは丈夫なことだろうか。

デザインに自由度がないため機能面で不利なことも

 形が決まってしまっているのが鉄チンのデメリットだ。ホイールキャップはデザインの自由度はあるが、しょせんはキャップだけに限界がある。そもそもキャップであることを隠すのは無理だ。その昔はナット穴も再現したキャップがあるが、それも違和感はあった。ただし、昔のスポーツカーのようにメッキのハブキャップを付けた鉄チンはかっこ良かったが。

 その次は冷却性だ。とくにブレーキは冷却が重要だが、鉄チンの場合はスポークがなく、開いていても小さな穴だけ。これでは熱がこもってしまう。スポークのほうが熱抜けがいいのは、見てもわかるだろう。

 そして最後が重量だ。アルミホイールのほうが軽いというのは皆さん、ご存じだろう。ただし、純正のアルミの場合は強度に対する安全マージンを広く取るので、各部が肉厚に。その結果、社外のアルミホイールほどは軽くないこともあるし、その昔は直進安定性を出すために、あえて重くしたアルミホイールもあった。逆に鉄チンの薄くても強度を出せる点はメリットかもしれない。

 このように整理してみると、価格以外にメリットはあまりないと言えるだろう。実用性重視な感じは嫌いではないのだが。