まるで、銭湯の入り口のようなトイレがあった――。そんなツイートが投稿され、密かな注目を集めている。

写真には、男女に分けた入り口があり、のれんのようなものが下がっている。たしかに、のれんに男女の区別があれば、銭湯を連想するのは自然な流れだ。

しかし、その上には、日豊本線、久大本線、豊肥本線の発車時刻を知らせる電光掲示板がある。やはり、ここは駅なのだ。また下を見ると、入り口の脇に「TOILET」という英文表記も見える。やはり、トイレらしい。

いったい、なぜこういうデザインになったのか。Jタウンネット編集部は、鉄道会社に聞いてみることにした。

大分駅はどこか違う


あくおん(@@akuaion)さんのツイートより

4月4日、JR九州福岡本社の広報部担当者から次のような回答をもらった。

「大分駅は、2012年、高架化が完成し、その後、駅ビルの工事も行われました。その過程で、このトイレのデザインも決まったのですが、別に銭湯や温泉を意識したわけではないようです」

結局、デザインの意図ははっきりと分からなかったようだ。

ただ、このトイレのデザインを担当したのは、高名な工業デザイナー・水戸岡鋭治さんが主宰する「ドーンデザイン研究所」だったと伝えてくれた。


JR大分駅コンコース(大分帰省中さん撮影、Wikimedia Commonsより)

水戸岡鋭治さんといえば、豪華寝台列車「ななつ星in九州」を手がけたことで知られる。他にも、「あそぼーい」「指宿のたまて箱」「A列車で行こう」「SL人吉」「かわせみ やませみ」、「いさぶろう・しんぺい」など、ユニークなリゾート列車の車両デザインも担当した。列車のみならず、駅舎など建物のデザインも手がけている。そういえば、大分駅も......。

そこで大分駅構内の写真をよく見ると、コンコースの格天井の雰囲気や、重厚な外観など、どこか「ななつ星in九州」にも共通する水戸岡鋭治ワールドを感じる。

冒頭に紹介したトイレにも、実はリゾート列車のような旅心を刺激する隠された意図があるのかもしれない。Jタウンネット記者は勝手な妄想を膨らませてしまった。

水戸岡デザインの列車旅を楽しみながら、水戸岡デザインの大分駅で乗り換え、銭湯のようなトイレで用を足す、そんな贅沢な旅を夢見るのも、たまにはいいのでは......。