ハロウィンじゃあるまいし、とんだ「かぼちゃ」だった。タレントのベッキー(34)の出演CMで知れ渡った女性専用シェアハウス『かぼちゃの馬車』を運営するスマートデイズ(SD)への投資を巡る金銭トラブルで、SD社の実質的経営者とされる“黒幕”の存在が明らかになりつつある。

 SD社は高利を謳い、主に一流企業の社員を顧客にして銀行から1億円から2億円の融資を受けさせ、シェアハウスを建築。それをSD社が一括で借り上げるサブリース方式で入居者の募集や管理をするというシステムを取っていた。
 「SD社が物件所有者に対し、30年間にわたって定額の家賃の支払いを保証する契約だったのですが、今年1月から家賃が支払えなくなり、経営破綻したのです」(不動産アナリスト)

 その後は被害者が続出。主にスルガ銀行から融資を受けた物件所有者らが被害者の会を設立し、3月末にはSD社などに損害賠償を求める集団訴訟を起こした。
 訴状には個人名Aが挙げられ、「Aは土地代金を中抜き、多額の金銭の一部をAが関与する企業に渡し、被告スマートデイズのサブリース賃料支払いの破綻に大きく関与した」という旨が記されているという。
 「Aは過去に詐欺を含めた逮捕歴と倒産歴もあるため表には出てこなかったものの、訴状ではAがSD社の実質的経営者だとしている。すでにAには、20億円の金が渡っているとの情報もあるのです」(同)

 Aはバブル期に石油関連会社を立ち上げ、自主輸入による格安ガソリンを手掛け、政府に抵抗する経営者として名を馳せたこともあった。
 「その後、'93年に激安ビデオショップチェーンを創業して全国展開したが、'95年に禁止区域営業による風営法違反容疑で逮捕された。翌年にはこのショップの運営会社を計画倒産させたとも言われ、'98年には旧住専から16億円を騙し取ったとして、詐欺容疑でも逮捕されている。そして'12年に、スマートデイズの前身のスマートライフを設立。前歴が前歴だけに自らは裏側に回り、別オーナーの持ち株会社を立ち上げたとされているのです」(経済ジャーナリスト)

 『かぼちゃの馬車』による被害総額は1000億円を超えると見られ、被害者の弁護団の発表により物件所有者の中に自殺者が出ていたことも判明している。
 「SD社が申請していた民事再生法適用も18日に棄却。警視庁は詐欺の疑いを視野に入れ捜査に動いています」(社会部記者)

 また、「被害者救済」をうたう団体が購入者に接触。購入者が問題解決を期待して金銭を支払っても、具体的な支援を得られず、返金にも応じてもらえない“二次被害”とも呼べる問題も起きている。被害者の弱みに付け込んでくる輩はいつの時代でもいるものだ。