小田急電鉄と小田急商事、セブン&アイHDと業務提携 沿線の事業基盤強化目指す
小田急電鉄とグループ会社の小田急商事が、セブン&アイ・ホールディングスと業務提携を発表。提携によって、いったいどのような効果が生まれるのでしょうか。
駅構内売店とCVS事業でセブンのノウハウ強化
小田急電鉄と同社子会社の小田急商事が2018年3月8日(木)、コンビニエンスストア「セブンイレブン」を展開するセブン&アイ・ホールディングスとの業務提携を発表しました。
左から小田急商事藤波社長、セブン&アイ・ホールディングス 井阪社長、小田急電鉄 星野社長(2018年3月8日、乗りものニュース編集部撮影)。
提携するのは、小田急商事のスーパーマーケット事業(Odakyu OX。世田谷区・川崎市を中心に26店舗)と駅構内売店(Odakyu SHOP。小田急線駅構内に88店舗)、コンビニエンスストア事業(Odakyu MART、小田急線沿線に13店舗)、商品調達に関してです。
国内外に約6万店以上の店舗展開を行うセブン&アイグループの運営ノウハウを得ることで、「Odakyu OX」の基盤強化や店舗網を拡大、また「Odakyu SHOP」と「Odakyu MART」をセブンイレブンのフランチャイズ店舗へ転換、さらには小田急線沿線にセブンイレブン店舗の出店拡大を推進するなど、相互に事業ノウハウを共有し、さらなる事業発展を図ることが目的といいます。
具体的な内容としては、スーパーマーケット事業において両グループ間で人的交流を実施。作業オペレーションや教育ノウハウを共有するほか、セブン&アイグループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」などを「Odakyu OX」各店へ導入。また、小田急商事とセブン&アイグループで物流機能を相互活用することで、作業の効率化とコスト低減を図る構えです。
小田急電鉄と小田急商事は2018年3月の小田急線複々線完成をビジネスチャンスととらえ、8月までをめどに最終契約の締結を進めます。
小田急商事「2025年度までに売上高1000億円」
3月8日に都内で開催された記者会見で、小田急電鉄の星野晃司代表取締役社長は複々線化にともなう沿線づくりについて、「『沿線への人口流入・集積』『顧客ニーズの増加』『沿線開発の進展』のサイクルを回すことで、日本一暮らしやすい沿線を実現していきます。これらの計画において、本提携は大きな柱となります」と話しました。
記者会見に臨む小田急電鉄の星野晃司 代表取締役社長(2018年3月8日、乗りものニュース編集部撮影)。
提携相手にセブン&アイグループを選んだ理由については、同グループの「収益性」「商品数」の2点を上げました。
また今回の提携タイミングについて「テーマとしてずいぶん前から持っていましたが、具体的に考えたのはここ最近。どちらともなく呼びかけました」としました。
セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一 代表取締役社長は「当社は全国の鉄道会社7社と提携し、450店舗の駅ナカ店を出店してきました」とこれまでの実績に触れつつ、今回の提携の背景について、50年間をかけて複々線化を推進してきた小田急グループの取り組みに深く共感した点があるとしました。
また、近年進む少子高齢化や人口減少などについても触れ、「(これらが進むことでコンビニエンスストアに対する)潜在需要はますます大きくなるでしょう。そのためには、自分たちの改革だけでなく、他社の優秀なノウハウと連携することが大切です」とし、小田急沿線におけるセブンイレブン店舗の出店拡大の意気込みを語りました。
小田急商事の藤波教信 代表取締役社長は「小田急線の1日平均乗降客数は400万人以上。5万人以上の駅だけでも23駅もあるので、非常に恵まれています」と沿線の強みを話しました。小田急商事では今回の提携を通し、2025年度までに売上高1000億円を目指す構えです。