ARM版Windows 10は64ビットアプリが動作せず。マイクロソフトが「制約」を一時公開した後に削除
米マイクロソフトはARM版Windows 10の「制約」についての文書を先週公開し、週末に削除したことが報じられています。すぐに削除されたために手違いのためと思われますが、Internet Archive上にキャッシュされたデータでその内容が確認できます。

「Limitations of apps and experiences on ARM(ARM上でのアプリおよび体験の制約)」と題された文書では、これまでマイクロソフトが詳しく説明しなかった既存のWindows 10とARM版Windows 10の違いを箇条書き。x64(64ビットアプリ)は動作しないなどの制約が記載されています。
2016年末に発表されたARM版Windows 10はQualcommのSnapdragonで動作し、既存のタブレット、ノート、デスクトップPCのWindows 10と同じアプリケーションが動くとされたOS。

もちろんネイティブ動作ではなくエミュレーションが介在しており、Universal Windows Platform(UWP)およびWin32アプリケーションが実行できるとされていました。

逆に言えば既存のWindows 10と比べた場合の制約、つまり「動かないアプリ」についての言及がなかったわけですが、削除された文書では主に以下のような内容が記載されていました。
ARM64ドライバのみがサポート。ARM版Windows 10はx86アプリケーションをエミュレートできるが、x64やx86など他のアーキテクチャ用に実装されたドライバ(ハードウェアを制御するためのソフト)はエミュレートされていないため。x64アプリはサポートされず。ARM版Windows 10はx64アプリケーションのエミュレーションをサポートしていないから。特定のゲームは動作しない。バージョン1.1以降のOpenGLを使用するゲームや、OpenGLのハードウェアアクセラレーションが必要なアプリケーションは動作しない。Hyper-V(仮想マシン上で別のOSを動作させる環境)はサポートされない。ARM版WindowsでHyper-Vを使う仮想マシンは実行できない。
もともとARM版Windows 10は「Win32アプリケーションが動くフル機能のWindows 10」という点がアピールされており、64ビット向けアプリケーションについては当初から触れられず。つまり「スルーされていたし、期待されてもいなかった」ことが改めて「できない」と確認されたに過ぎません。


ARM版Windows 10を待ち望んでいる人々も、使い慣れているWin32アプリケーションがサクサク動作する上に「フルで使っても2日」「日常的な利用なら週一で十分」といわれる常識はずれなバッテリーの持続時間に期待がかかっているはず。一日も早い製品版の登場を心待ちにしたいものです。

※2月20日15時追記:本件に関して、ページ削除理由について、マイクロソフトに問い合わせ中です。返答があり次第、追記いたします。

※2月20日16時追記:本件について、マイクロソフトから得られた回答としては「現段階で当社から申し上げられることはない」とのことです。