「嫌われる営業マン」の話し方、よくある7大NG
商品に詳しい、「できる営業マン」ほど気をつけるべき点とは?(写真:Graphs / PIXTA)
みなさん、こんにちは! アナウンサーの魚住りえです。
このたび、東洋経済新報社より『たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書』を出版いたしました。
前著『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』は本当に多くの方に手に取っていただき、おかげさまで15万部を超えるベストセラーとなりました。みなさまに深くお礼を申し上げます。
第2弾となる今回は、コミュニケーションをとるうえで、「話し方」以上に大切な「聞き方」について書きました。早速、5万部を超えるヒットとなり、多くのみなさまに読んでいただけていることを、心からうれしく思います。
本記事では「嫌われる人の営業トーク」よくある7つのNGを紹介します。
その「営業トーク」自己満足になっていませんか?
どのようにしたら、より多く商品が売れるのか――。営業マンにとっては、つねに頭から離れない課題ですよね。
多くの営業マンが、会社の先輩から学んだり、自分で勉強したりしながら多くの経験を積み重ねることで、スキルアップしていくと思います。そのスキルの中でも、営業成績に大きくかかわってくるのが「話し方」です。
自分では「完璧な営業トーク」と思っていても、「早口で全然わからない」「強引すぎる」「上から目線でイヤ」など、実はその「営業トーク」で相手を不快な気持ちにさせてしまったりしていることがあるものです。
では、嫌われる営業マンがやりがちな「営業トーク」とはどんな話し方なのか。ここでは、主な7つのNGを紹介します。
まず、よくあるのが、「一方的に早口」でどんどん話してくることです。
商品の「押し売り」は絶対にダメ!
【1】「一方的に早口」で話しまくる
商品について説明する必要は当然ありますが、とにかく「一方的に話す」人っていますよね。そして、そんな人は早口だったりすることが多いものです。
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「マシンガン」のように話が途切れることなく続くと、相手は「自分の話」ができずイヤな思いをするだけでなく、「聞いていること」にも疲れてしまいます。
「細かいことまで、きちんと話さなければ」という気持ちからかもしれませんが、これではどんなに話しても、「話の内容」も「あなたの気持ち」も相手に伝わりません。
せっかくのチャンスも逃してしまうことになってしまいますので、「低めの声」で「ゆっくり話す」のを意識して、一方的にならないように気をつけましょう。
【2】商品を「強引」に勧めすぎる
「本当にいい商品なんです。絶対に買ってください!」
「来週契約書を持ってきますので、それまでこちらを使ってください」
「どうしようかな……」と迷って即決できないときに、強引に勧めてくる営業トークもありがちです。
商品のいいところを強調してくるまではいいのですが、「絶対に買ってください!」と言わんばかりのゴリ押しは、かえって相手は引いてしまいますよね。
「押し売り」にならないように、自分の意見はきちんと伝えると同時に、相手の話もきちんと聞いてあげるのがマナーですね。
【3】「他社の悪口」を平気で言う
「実は、●●社の商品はすぐ壊れてしまうという話があるんです」
「△△商事って話題になっていますが、業界ではかなり評判が悪いんですよ」
自社の商品のよさを伝えたいとき、「他社の商品」と比較して説明することはよくありますが、そこで他社の「悪口」を言ったりする営業マンも、意外に多いものです。
そもそも「悪口」を言うこと自体よくない行動ですが、それ以上に、相手に「他社の悪口を言ってまでも売りたいのか」という気持ちを持たれてしまい、かえって自社のマイナスイメージがつくことになってしまいます。
他社と比較して伝えたいときは、「悪口」にならないような表現にしたほうがいいですね。
次によくあるのが、売りたい商品の「いいところしか言わない」ことです。
商品の「足りないところ」もきちんと説明する
【4】商品の「いいところ」しか言わない
「小さいのに前のモデルより機能がたくさんついていて、さらに便利になりましたよ」
「……でも、手入れが面倒そうじゃないですか?」
「いやいや、それより持ってみてください。軽いから持ち運びも楽々ですよ」
商品についてのセールスポイントを「的確に伝える」ことはとても大切なことです。でも、いいところばかりの説明だけでは、「本当にそんなにいいことばかりなの?」と説得力に欠けてしまいます。
それに、あとで壊れてしまったりしたときなどに「そんなの聞いていない!」とクレームにもなりかねません。
商品の「いいところ」だけでなく「足りないところ」もきちんと説明すると、かえって相手も「この人は商品のことをちゃんと理解して営業している」と納得・安心してくれます。
【5】「買わないと損をする」と恐怖心をあおる
「今、ここで買わないと絶対に大損をしますよ」
「ほとんどのご家庭で購入していますよ」
「今、ここで買わないと損!」というような恐怖心をあおる営業トークも、結構耳にすることがあります。
このようなトークのときは、「今、買わせたい」という気持ちが先走っているので、肝心の商品の説明がおろそかになっている場合が多いものです。これでは、後々のクレームにもつながりやすくなってしまいます。
それに、「この人が営業に来たら買わなければならないかも」と、ネガティブなイメージがついてしまうかもしれません。くれぐれも恐怖心をあおるような営業トークは控えましょう。
【6】「上から目線」の話し方をする
「今は、これくらいの機能付きは常識レベルですよ」
「この番号順に操作するだけなんですけど、これくらいなら、できますよね?」
「上から目線」の話し方は、さまざまな場面でイヤな印象を与えてしまいますが、営業トークでは特にイヤな印象が強く感じられます。
興味がある商品で熱心に聞いていても、「知らなかったんですか?」「できますか?」と「上から目線」でどんどん言われると、買いたい気持ちよりも不快感が強くなってしまい、いい商品も「イヤな商品」になってしまいかねません。
商品に詳しい、できる営業マンほど「上から目線の話し方」になりがちなので、特に気をつけてください。
最後は、初対面から「なれなれしく」話しかけてくることです。
営業トークは「真摯な言葉と気持ち」で
【7】初対面なのに「なれなれしく」話しかけてくる
「これね、このスイッチを操作するだけなの。やってみる?」
「……うんうん、そうなんだ。じゃあ、こっちの商品がいいかも。どう?」
初対面で早々からタメ口のように「なれなれしく」話しかけてくる人も、結構いたりしますね。
「早く相手との距離を縮めたい」という気持ちからの行動かもしれませんが、どんな人かわからないうちに、いきなりなれなれしく話しかけるのは、かえって相手に不信感を持たせてしまいます。
「なれなれしく話す」ことでは相手との距離は縮みません。真摯な言葉と気持ちで接することが大切です。
【「嫌われる人の営業トーク」7つのNG】
・「一方的に早口」で話しまくる
・商品を「強引」に勧めてくる
・「他社の悪口」を平気で言う
・商品の「いいところ」しか言わない
・「買わないと損をする」と恐怖心をあおる
・「上から目線」の話し方をする
・初対面なのに「なれなれしく」話しかけてくる
以上、「嫌われる営業マンの話し方」を挙げてみました。
「営業トーク」は、一生懸命頑張ろうと思うあまり、ついつい自分中心に話してしまいがちです。でも、誰だって「イヤな話し方」「不愉快な話し方」をする人から、商品を買いたいとは思わないものですよね。
私は「営業マン向けの研修」に講師として呼ばれることもよくありますが、「話し方」「聞き方」を磨くだけで、その人の印象は随分変わります。「こんにちは」「ありがとうございます」など、同じ言葉で「声」を変えるだけでも、印象はぐんと変わるものです。
「聞き方」「話し方」を磨き、「好印象の声」を身に付けることができれば、あなたの営業成績もアップしますよ!