前節にも判定の撤回は起こったが、結果に直結することだけに、早期の改善が求められる。写真はギラシー。 (C) Getty Images

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 10月13日(現地時間)に行なわれたブンデスリーガ第8節で、ケルンはアディショナルタイムにシュツットガルトの勝ち越しゴールを許し、今シーズン、リーガでの7敗目を喫した。

 またしても泥沼から抜け出すことができなかったケルンにとって、受け入れられないのはチャトラク・アコロに決められた決勝ゴールではなく、その直前の「失われたPK」だろう。
 
 77分にドミニク・ハインツの見事なミドルで1-1と追い付いていたケルンは、88分にセル・ギラシーがペナルティーエリアでパスを受けた際、背後から足をすくわれて倒される。すると、ベンヤミン・コルトゥス主審は笛を吹きながらペナルティースポットを指さした。
 
 直後にVARが採用されたが、PK判定の際には確認のためにビデオ判定が行なわれるのは珍しいことではない。しかし、主審はさらに自ら映像をチェックした上で、自身の判定を撤回。ノーファウルとして試合を続行させたのだった。
 
 今シーズン初の勝利のチャンスは失われ、さらにその直後の失点で勝点1すら失ったケルン。彼らがここまで、VARの恩恵を受けられていないことは有名だが、チームの名物SDであるイェルク・シュマトケは試合後、不満のコメントを残している。(『ビルト』紙より)
 
「選手同士の接触(ファウル)があり、審判はPKの判定を下した。これは間違いではなかったはずだ。なぜ、ケルンにばかりこういうことが起きるのか。これについては、しっかり説明がなされなければならない」
 
 一方、『Eurosport』の解説者であるドイツ・サッカーのレジェンド、マティアス・ザマーは、「(ビデオ判定について)100パーセントは存在しない。しかし、誰かが決定を下さなければならない。そして、それについての説明責任もついて回る」と見解を述べた。
 
 また『ビルト』紙は、勝利を飾ったシュツットガルトのリーダー、ホルガー・バドシュトゥバーのコメントも紹介している。
 
「オープンな試合であり、我々に幸運が味方した。ビデオ判定は残酷であり、これによって勝利と敗北が分けられた。ケルンには本当に気の毒だったが……。このような結末で、我々は勝点3を得た。言えるのは、これもサッカーだということ」
 
 誰もが判定に納得できるよう取り入れたシステムだが、これを採用するか否かの判断、そして映像が映し出した真実をどう捉えるかは、結局のところ人間に委ねられており、そこに公平・不公平が生じ、新たな議論を巻き起こすようになっている。
 
 ケルンを天国から地獄に突き落とした今回の一件は、新システムの問題を改めて浮き彫りにしたのだった。