どこまでも大一番に強い柴崎。マドリーとバルサのリーガ2強からゴールを奪った初めての日本人選手に。後半の負傷退場が悔やまれる。(C)Getty Images

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  世界中がそのゴラッソに、感嘆の声を上げただろう。
 
 9月16日のリーガ・エスパニョーラ4節、ヘタフェ対バルセロナの一戦。ホームチームのトップ下で先発した柴崎岳は、序盤から惜しみないチェイシングでセルヒオ・ブスケッツやアンドレス・イニエスタにプレッシャーを掛け、攻めては手数の少ないタッチで迅速な切り替えを遂行。まずまずのプレゼンスを披露していた。
 
 そして、39分。なかなかエンジンのかからないバルサを尻目に、ヘタフェが先制点を挙げる。ゴール前に上がった浮き球をマルケル・ベルガラが頭で落とし、20メートルの位置から柴崎が左足でハーフボレー! 強烈なドライブ回転のかかったショットはGKアンドレ・テア=シュテーゲンの頭上を越え、ゴールネットに突き刺さった。
 
 全国紙の『Marca』はゴール直後から速報ページとツイッターで賛辞を送り続けた。
 
「なんてことだ。日本人が生涯一のゴラッソをバルサ・ゴールに蹴り込んだ。ヘタフェでもっとも才能に溢れる男は、エリア手前からテア=シュテーゲンにとって絶望的な一撃をお見舞いした。バルサの今シーズン初失点であり、リーガでは450分間無失点を続けていたが、その記録も阻止。天才的な閃きで決めた、きわめて価値が高く、輝かしいゴラッソだ。ガク・シバサキが、午後のヘタフェの主役となった」
 
 だが53分、柴崎は左の足首周辺を傷めて無念の負傷交代。同紙は「残念なリタイアだ。殊勲弾のシバサキは試合をフィニッシュできなかった」と報じた。怪我の状態が気になるところだ。
 
 試合は62分、後半から登場したバルサのデニス・スアレスにゴールを決められ同点。ともにオープンな撃ち合いを演じ、ヘタフェも好機を掴んだが、84分に逆転弾を奪われてしまう。リオネル・メッシからの絶妙なパスを受けたパウリーニョに、パワフルショットをねじ込まれたのだ。

 悪いなりにもしっかり結果を出すバルサ。柴崎のゴラッソが決勝点とはならず、ヘタフェは1-2の惜敗を喫した。
 
 それでも『Marca』紙は、「ガク・シバサキは今日のメインキャストのひとり。(クラブワールドカップ決勝で)レアル・マドリーにしでかしたことをバルサ相手にもやってのけたのだ」と、最後まで柴崎の活躍を称えた。