レアル下部組織のトップ昇格率は4%… 中井くん、バルサ帰還も噂される久保ら逸材が挑む“メガクラブの壁”

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地元紙が特集 来季カスティージャから確実に昇格を果たすのはジダン長男のみ

 UEFAチャンピオンズリーグ連覇、そしてリーガ・エスパニョーラとの二冠を狙うレアル・マドリードだが、セグンダB(3部相当)グループ2に所属する下部組織のカスティージャは、第36節を終えて勝ち点50の10位、2部昇格圏内の4位レイオアとの勝ち点差が残り2試合で「9」となったため、昇格を逃した。

 レアルOBで元アルゼンチン代表MFサンティアゴ・ソラーリ監督が指導する23人のタレントのうち、トップチーム昇格の可能性があるのはジネディーヌ・ジダン監督の実子で長男のMFエンツォ・フェルナンデス・ジダンと、条件付きとなるモロッコ代表DFアクラフ・ハキミの2選手のみ。大半のタレントがトップチームへの昇格を果たせず、高いレベルでのプレーを求めて“白い巨人”を去ることになるという。スペイン地元紙「マルカ」が、「新星がカスティージャを去る。アレックス・フェバス、マリオ・エルモソ。アブネル…」と特集している。

 “ピピ”の愛称で呼ばれる現在13歳のMF中井卓大くんは、レアルの下部組織インファンティールA(U-14)に所属。FC東京U-18でプレーするU-20日本代表の15歳FW久保建英も、18歳になったら2015年まで所属したバルセロナに復帰すると伝えられているが、名門のトップチーム昇格への壁はやはり高く険しいようだ。

 レアルの逸材たちはカスティージャの2部昇格を実現できなかった上に、トップチーム昇格の可能性が見えない状況でチームを次々に去ることになるという。

ダニーロ放出ならアクラフはトップ昇格へ

 最大の逸材はMFアレックス・フェバスだ。カタルーニャ出身の才能豊かな21歳は、レアルとの契約を2年延長したばかりだが、3部でのプレーを続ける意思はなく、ベティス、アラベス、エスパニョールが移籍先に浮上している。

 チームのキャプテンのDFマリオ・エルモソも、今季終了後にカスティージャから移籍することが確実だという。昨季2部のバジャドリードに武者修行に出て31試合出場と、その実力をすでに証明済みで、ベティスが獲得に乗り出しているという。

 ブラジル人DFアブネルは、3年前に膝の重傷を抱えながらもレアルに加入。カスティージャを昨季途中まで率いたジダン前監督は、膝の故障の再発で引退危機の新鋭を再生させることに成功した。トップチーム昇格が期待されていたが、強豪セルタに移籍する可能性が高まっている。

 21歳のMFクリスティアン・セドレスは、来季に期限付き移籍で放出される可能性が浮上。そしてトップチーム昇格の可能性がある18歳のアクラフだが、トップチームがダニーロ放出に成功した時という条件付き。その際にはスペイン代表DFダニ・カルバハルのバックアップとなるが、逸材にはすでに他クラブからオファーが殺到しており、アラベスに移籍する可能性があるという。

 オーストリアU-21代表DFフィリップ・ラインハートは、ラファエル・ベニテス政権時にトップチームに昇格し、国王杯カディス戦でプレーしたが、今季限りでの移籍は確実。ブンデスリーガ行きの可能性が高いという。GKカルロス・アバドもテネリフェからの期限付き移籍で2年間所属したが、チームを去る可能性が高い。ギリシャ人FWニコス・ベルゴには、母国オリンピアコス復帰が浮上している。

元広州恒大の中国人MF林は言及すらされず

 一方、来季も3部を戦うチームに残留する可能性があるのは、監督の実子で次男のGKルカ・ジダン、マルコ・クランニクス、DFテヘロ、サルト、MFハビエル・ムニョス、テナ、バルベルデ、FWセルヒオ・ディアスの8人。広州恒大から2015年にフベニールに加入した中国人MF林については、特集で言及すらされていない。結局、トップチーム昇格が確実なのはジダン監督の長男エンゾのみと、昇格率は23分の1、わずか4%という狭き門だ。

 レアルやバルセロナなどのカンテラ(下部組織)には、年代に応じた逸材がこぞって集まる。カテゴリーが上がるたびに世界中の才能が集結するため、トップチーム昇格を勝ち取れるのはほんの一握りで、イバラの道となる。その一方でトップチームに昇格できなくても、才能が証明されればセルタなどのスペイン強豪で活躍するチャンスが出てくる。

 日本サッカー界の未来と期待される中井くん、そしてバルサ復帰の可能性がある久保は、将来待ち受けるメガクラブの熾烈な生存競争を生き抜くことができるだろうか。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images