世界最大の電波望遠鏡「FAST」なんと観光客もウェルカム(出典:http://shanghaiist.com)

写真拡大

世界最大級となる固定型・電波望遠鏡の「FAST」。中国貴州省の山岳地域に建設されたもので“天眼”“エイリアン・ファインダー”とも呼ばれている。昨年夏に完成していたその「FAST」が嬉しいことに観光スポットとしても一般公開されることが決まった。『shanghaiist.com』などが伝えている。

宇宙の様々な謎の解明や地球外生命体の探査を使命に開発された「FAST(Five-hundred-meter Aperture Spherical radio Telescope)」。110億光年先から届く微弱な電磁波、マイクロ波を観測することが可能となるといい、「FAST」が本格始動すれば1年以内にパルサー(光、電波、X線、ガンマ線などを周期的に規則正しく放射している天体)の数は倍に増えるとみられている。

2007年にプロジェクトが立ち上がり、2011年に貴州省黔南にある山岳地帯の窪地で建設がスタート。12億元(約195億円)を費やした「FAST」は昨年7月に完成していた。4,450枚の反射鏡からなるパラボナアンテナの直径はなんと500メートル。サッカー場を30も飲み込む大きさと表現され、世界の専門家や天文ファンを驚かせた。

この望遠鏡の建設にあたっては、実は半径約5km以内に暮らしていた住民約1万人が政府が準備した代替家屋への立ち退きを求められたほか、半径10kmの範囲を対象に電波発信行為、狩猟、森林伐採、土地の埋立て作業などを禁止する新たな条例が整備された。違反すれば10万元(約162万円)の罰金が科されるという。そんな中でこのたび一般人観光客に向けて公開することが正式に決まったが、中国人グループの桁外れの賑やかさは世界のどの観光地でも有名であり、果たして一般公開して大丈夫なのであろうか。なお入場できるのは1日あたり2,000人と制限されるため予約が必要。電磁波によるデータ干渉を防ぐため展望台入場前にはすべての電子機器を預けることになるようだ。

たとえばハッブル宇宙望遠鏡は、6本の尾を持つ彗星のような星を発見するなど素晴らしい功績を挙げてきた。だが「FAST」に関しては科学者や技師らが今なおその精密かつ複雑すぎる機器を前にテストやバグ修正の作業に追われているとのこと。少なくともあと数年は期待できそうにないと指摘する専門家もいるようだ。宇宙天文学における世界的地位とノーベル賞がなんとしても欲しい中国。新疆ウイグル自治区にも世界最大級の可動式・電波望遠鏡を建設中であるという。

出典:http://shanghaiist.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)