「『国立がん研究センター』が年齢ごとに将来的にがんになる確率をまとめています。たとえば40歳の女性が10年後にがんに罹患する確率は、4%ほどです。50歳の場合でも25%の人が、30年後、つまり80歳になってがんになるのです。年齢によっても、がん保険の必要性は変わってくるでしょう」

こう語るのは、『生命保険は「入るほど損?!」』の著者で、「保険相談室」代表の後田亨さん。「2人に1人が罹患する」……国民病ともいわれるがん。複雑ながん保険は、終身保険や10年更新型などがあり、長く付き合っていかなければならない商品。

そこで大事になってくるのが、がん保険との付き合い方だ。年齢別のがん保険との付き合い方を後田さんに加え、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん、『比較検証がん保険』の著書もある医師の佐々木光信さんに聞いた。

【20〜30代】
「がんになるリスクばかりでなく、収入や貯蓄も少ない年代。どちらかというと、がん以外の病気やケガまで幅広い医療保険の優先順位が高くなります。しかし公的制度もあるので、無理して保険に入らず貯金するのも一つの手段です」(黒田さん)

【40〜50代】
依然としてがんに罹患するリスクが低いものの、徐々に増加していく年代層だ。

「医療保険にしか加入していないのであれば、がん保険特約をつけたり、がん保険に切り替えるのもよいケースが増えるでしょう」(黒田さん)

後田さんは「どうしても」という前提で、何か検討するなら、定年までや65歳までといった期間限定で「就業不能保険」があるという。

「住宅ローンの返済など、安定した収入が必要な年代だからこそ、がんにかかったことで、大幅に収入が減るリスクを重視したい。そこで“収入補てん”の意味合いで、長期間仕事に就けない状態が続く場合、10万円単位の月額が給付されるような保険に加入するのは選択肢の一つでしょう」(後田さん)

【65歳以上】

「がんの罹患リスクは高まりますが、年金の支給を受けていれば、療養生活の中で収入が途絶えることはありません。150万円ほど貯蓄があって、がん治療に耐えられる資産形成ができていれば、民間保険を“卒業”、あるいは“加入しない”ことも視野に入れておくべきでしょう」(黒田さん)

ただし“卒業”はあくまで最後の手段、と佐々木さんは語る。

「先端医療に果敢に挑戦する必要を感じない人も多いはずです。年齢によっては、保険の見直しも必要でしょう。ただ、保険は“安心”につながります。一生涯支払い続けることが前提の終身保険でも、最近では支払い期間が60歳や65歳で終わり、保障は一生涯続く商品もあるので、保険の内容はしっかりと把握しましょう」(佐々木さん)

がん保険は“何を選ぶか”だけでなく、“何を選んだか”も重要なのだ。