スマホ料金は下がるか? いますぐやっておきたい節約術

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■値下げに期待してはいけない

「やった! 携帯料金が安くなるぞ」。そう考えた人は少なくないだろう。2015年9月、安倍晋三首相は、携帯料金などの家計負担軽減は大きな課題であるとして、高市早苗総務相に携帯料金値下げを検討するように指示した。

携帯電話市場はドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアの寡占状態にあり、料金は高止まりしている。総務省の調査では、この10年で、家計に占める通信費の割合は2割近く増加した。首相の一声を受け、10月からは携帯電話料金の引き下げ策を検討する有識者会議が開催され、12月16日、最終報告書がまとめられた。しかし、これまでの議論を見る限り、料金問題はぐだぐだの決着を迎えそうだ。

有識者会議における論点は3つある。1つは割高感があるライトユーザーのために、料金プランを新設させること。2つめは、端末の極端な安売りやキャッシュバックの規制。長期ユーザー、つまり、端末やキャリアをほとんど乗り換えない人が割を食っているためだ。最後は、格安スマホや格安SIMを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の普及だ。大手通信事業者から通信網を借りているため、格安のサービスが提供できる。

携帯料金にまつわる問題がバランスよく議論されれば、大手キャリアの料金値下げは実現するかもしれない。しかし有識者会議では、ヘビーユーザーとライトユーザーの格差をなくすことばかりに話が集中しているきらいがある。このままでは予算を組み替えただけの大手キャリアが「ヘビーユーザーはライトユーザーの分までお金を払ってくださいね」と言って終わるのがオチで、消費者は通信費に頭を悩ませ続けるというのが私の予測だ。

そういうわけで、値下げを待っているだけではだめ。自ら行動する必要がある。しかし、一番にオススメするのは、話題のMVNOへの乗り換えではなく、請求書の確認だ。

まずはオプション。ほとんど使っていないものや、契約時にショップ店員に勧められるまま加入し、解約し忘れているものはないだろうか。月々300円のオプションでも、3つもあれば、年間1万円の損だ。次に、データ通信のプラン。料金プランごとに3ギガ、5ギガなどパケット量が設定されているが、月々の使用量は現在のプランと見合ったものか、見直してみよう。

さて、「格安」という言葉にひかれ、MVNOに挑戦したい人もいることだろう。しかし、大手キャリアでは標準になっている電話かけ放題プランがないことを留意しておくべきだ。15年10月にはニフティが提供するNifMoが時間・回数とも通話無制限のサービスを開始したが、これは通常の電話回線ではなく、専用アプリを使用したIP電話だ。また、ネットや電話窓口しかない業者の場合、スマホの故障などのトラブル対応に時間がかかる。

オススメの業者を挙げるならば、頭一つ抜けていると思われるのはIIJ(インターネットイニシアティブ)だ。ネットプロバイダとしても最古参で、技術的なバックボーンは他社の追随を許さない。IIJは、ビックカメラやイオンと組んでカウンターを設置している。ほかにも、子どもや高齢者向けの機能を搭載した独自の端末を売り出しているトーンモバイルはTSUTAYAの系列店舗で端末を販売している。

一家4人のうち、子どもや妻の3台のスマホをMVNOに切り替えれば、1年で10万円以上の節約ができる場合もある。ただ、現在のMVNO業界は、ネット普及期に有象無象のプロバイダが出現した状況と似ている。大手通信事業者から借りた回線とユーザー数は見合っているか。大災害が発生した場合にきちんと繋がるのか。念頭に置いて行動する必要がある。

(スマートフォン/ケータイジャーナリスト 石川 温 唐仁原俊博=構成 図版作成=大橋昭一)