【意外と知らない】クルマはどこまで水に浸かっても平気?

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エンジンはエアクリーナーでテールはマフラーまで

今までにない規模の台風ゲリラ豪雨も珍しくない昨今。クルマの水没もニュースになる。なかにはそのまま脱出不可能になり、なかで亡くなる方も出てくるほどだ。そもそも、クルマはそれほど水に弱いのだろうか。

まず基本構造として、どこまで水に浸かっても大丈夫かというと、エンジン部分はエアクリーナーまで。そしてテールはマフラーまでなのだが、排気ガスが勢いよく出ていれば水没しても走れる。ただし、止まってしまうと、水は逆流してしまう。

いずれにしても、エンジンに水が入ると走行は不能になるし、無理にエンジンをかけようとすると、ウォーターハンマー現象が発生して、水の力でコンロッドが曲ってしまい、オシャカになってしまうのだ。

電装系を防水して、エアクリーナーとマフラーが水に浸からないようにすれば、水中を走ることは可能。探検に使われるようなランドローバーやランクルのボンネットの横から煙突のようなものが出てるのを見かけるが、あれはまさに空気の吸入口や排気管だ。

もちろん市販車ではそんな装備もないし、そもそも電装系に防水はしていない。とくに最近の電子制御大量採用のクルマでは、ちょっと使っただけで不具合が多発してしまう。

一番大きな問題はドアで、電子ロックが当たり前なので壊れればドアは開かなくなるし、そもそも水圧で開けることは困難だ。だから、ドアパネル部分が水没したらもうだめだろう。

脱出の方法としてはガラスを割るしかない。無理にドアを開けられたとしても車内に大量の水が流れ込んでくるので、ますます危険になる。

心理学的に、クルマに乗っているとちょっとしたところでも行けるのでは? と錯覚しがち。その結果、水たまりにはまって走行不能になることも。またゲリラ豪雨では、アンダーパスなど水が溜まりやすいところではアッという間に水かさが増すこともある。くれぐれも油断しようにしてほしい。

(文:近藤暁史)