無印良品が世界に発信する「職人の心」──ハンドメイド展示会がNYでも

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シンプルなデザインで世界でも人気を誇る無印良品は先週末、ニューヨークの店舗で、「佇まい」をテーマに工芸作家たちのハンドメイド作品の展示・販売会を開催した。日用品のグローバライゼーションが進むなか、無印良品が世界に伝えようとしているのは「手づくり」の心地よさだ。

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2/11木工細工師の三谷龍二による皿やトレイは、波打つような木の皮風の表面が特徴的で、これは1,200年前の奈良時代から伝わっている彫り方に敬意を表したものだと三谷は言う。
PHOTOGRAPH COURTESY OF MUJI

3/11同じく三谷のデザイン。
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4/11陶芸作家の岩田圭介は、卵やココナッツの形にヒントを得たカップやポットをよくつくる。
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5/11岩田圭介作品のきゅうす。
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6/11安藤明子はグループで唯一の衣服作家だ。年齢体型性別問わず、長く着られる定型の衣服というコンセプトで、サロン(筒状のスカート)や上衣などをつくっている。
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7/11サロン(筒状のスカート)はもともとインドネシアのスカートだが、日本の風土に合わせて布地を変えている。
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8/11安藤雅信は、一般的なロクロを使わずに作品をつくる陶芸作家だ。
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9/11小さなカップに合わせるソーサー。
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10/11辻和美のガラス食器は、ペイントされた水玉模様や縞模様が特色だ。
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11/11子どもたちがテーブルマナーを学ぶのにも役立つデザインになっている。
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デザイン性を全面に押し出した生活雑貨シリーズ「MUJI(無印良品)」の製品を愛好する人々は、その美的センスはもちろんのこと、手頃な価格も気に入っている。だからといって、無印良品が実験的な取り組みを行っていないかというとそうでもない。

無印良品には、そこから派生した「Found MUJI」というシリーズがある。著名デザイナーで無印良品のクリエイティヴディレクターを務める深澤直人が、世界各国で見つけたシンプルなアイテムを取り揃えたものだ。

ニューヨーク5番街にある無印良品の旗艦店では、先週末、6人の日本人の職人が技巧を凝らした作品の展示・販売会が開催された。

「佇まい」というテーマで集められた作品には、ガラスや織物、木、陶芸などが含まれていた。一般的な無印良品の商品は工場で製造されているように見えるが、このコレクションだけはどれも明らかに手づくりだった。

つくったアーティスト本人も店にやって来た。作品の販売が開始される前の6月22日(米国時間)、無印良品のショーウィンドウ内の白いテーブルの上に、作品を慎重に並べる彼らの姿があった。

木工細工師の三谷龍二による皿やトレイは、波打つような木の表面が特徴的で、これは1,200年前の奈良時代から伝わっている彫り方に敬意を表したものだと三谷は言う。辻和美のガラス食器は、ペイントされた水玉模様や縞模様が特徴だ。持ちやすいデザインで、子どもたちがテーブルマナーを学ぶのにも役立つと辻は期待する。

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筆者のお気に入りの無印製品は、歯ブラシだ。細身で、優しい丸みを帯びたアクリル樹脂のように見える透明プラスティックの柄に、小型のブラシヘッドが付いている。価格もわずか数ドル程度である。

筆者はこの歯ブラシを、ジョン・F・ケネディ国際空港やサンタモニカ、そしてロンドンの無印良品の店で購入したことがある。どこで買っても、まったく同じものが手に入る。こうした一貫性とミニマルで実用的である商品は、MUJIブランドの一部となっている。

同時に無印良品は、日本の独創的なデザインセンスや、日用品がグローバライズされたときに忘れられがちな心や魂のようなものを世界に紹介しようともしている。「佇まい」のようなコレクションは、その心地よさを思い出させてくれる“オアシス”になっている。