学生の窓口編集部

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日本にまた偉大なる科学者がいることが、世界に明らかになった。ノーベル医学生理学賞を受賞した大村教授。2012年にノーベル医学生理学賞を受賞したiPS細胞の山中教授も「ものすごい先生」と呼ぶこの山中教授の偉人伝説が話題となっている。

■大村教授の伝説が話題に
静岡県のゴルフ場の土壌から発見した細菌をつかって、「ベルメクチン」を開発。WHOを通じて特効薬を世界中に配布し、10億人が使用したという。特許料だけで数千億になったこのワクチンだが、大村教授はこれを放棄。無償で提供したからこそ、世界中に広がって数え切れないほどの人の命を救った。
大村教授のこの偉人伝説に、ノーベル平和賞にふさわしいとの声もあがっているが、他の受賞者も特許とは興味深いかかわりをしているのでご紹介したい。

■中村教授は50億円の特許料を自身のインセンティブに
青色LEDで知られるアメリカの中村教授は、特許料が自身のインセンティブだった。元勤務先の日亜化学とは200億の裁判で話題となった。結局8億4391万円で決着した。それでも大金だ。中村教授はサラリーマン研究者と報奨金や特許の問題に一石を投じたといえる。現在は開発が報われるアメリカにわたり、国籍もアメリカとなってしまった。自由の国のほうが得られる自由も対価も莫大なものになる。

■山中教授は企業に独占されないために特許を取得
一方でiPS細胞の山中教授は独特の考えで特許に挑んでいる。研究室には知的財産権の専門家を置き、特許に備えている。もちろん山中教授の狙いは特許料ではなく、企業が特許を取得すると特許料が高騰してしまうことを防ぐ目的だった。係争になれば研究に邪魔になるため、いち早く自身で特許を独占することで研究をスムーズにし、それがスピード受賞につながったともいわれている。

■三者三様の特許との関わり方
比べてみると面白い。特許でお金をもうけることはもちろん悪くない。中村教授だって特許料を励みにがんばった一面もあるだろう。それは素晴らしいことだ。だがやはり今回の大村教授の素晴らしさは群を抜いており、平和賞とのW受賞もあながち空論ではないと思わせるぐらい、偉大なものだ。むしろ次のお札の肖像になるかもしれない。特許は研究に欠かせないもの。次のノーベル賞の受賞者はどのような考えで特許に挑むのであろうか。お金が絡むだけに見逃せない関わりだ。