学生の窓口編集部

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日本で使用されているカレンダーは「グレゴリオ暦」いわゆる「太陽暦」ですね。確かに太陽暦を用いている国は多数派ですが、その一方で歴史ある「太陰暦」の暦も併用しているなんて国は多いのです。今回は世界のカレンダーについてです。

■日本の太陽暦導入のむちゃくちゃ!

まず日本の話です。日本が「太陽暦」の公的使用に踏み切ったのは明治6年のこと。明治5年の11月に「太陰暦はやめまーす! 来月・12月3日が明治6年の1月1日です!」と告知しました。むちゃくちゃですね(笑)。国民に大混乱がありましたが明治政府はこれを強行し、現在まで日本は太陽暦を使い続けています。

それまでの日本、江戸時代には「太陰太陽暦」が使われていたのですが、これは上記の明治の大断行に伴って事実上消滅しました。

■イスラム圏では「イスラム暦」が生きている!

まずイスラム文化圏では、宗教上の理由から「イスラム暦」(ヒジュラ暦)が生きています。宗教上の行事がイスラム暦によって定められているため、この「太陰暦」が今も併用されているのです。

例えば、有名な「ラマダーン」はイスラム暦の第9の月に当たりますが、太陰暦によって定められているため、太陽暦からすると毎年時期がずれます。冬に当たると断食時間が短くて済みますが、夏に当たると断食時間が長くなって皆さん大変です。

また、イラン、アフガニスタンなどは「イラン暦」ともいわれる「ヒジュラ太陽暦」(ヒジュラ元年を紀元とした太陽暦)を使用していますし、サウジアラビアでは「ヒジュラ暦」が公式の暦となっています。

■インドのカレンダーはややこしい!

インドのカレンダーは外国人、特に日本人のように宗教にあまり縁のない国の人間からするとややこしいとして有名です。ヒンズー教、イスラム教、少数ながら仏教と宗教が入り交じり、また地方によって使用されてきた暦がそれぞれあるからです。

太陽暦はもちろん導入されていますが、それとは別の「インド国定暦」というのもあるのです。これは春分の日の翌日が(日本でいえば)元日(新年の第一日)になります。また、宗教上のイスラム暦もあり、各地方で使われている暦もあります。それぞれ何年かも違えば元日も違います。インドではこれらが併用されているのです。

■現在も使われている暦の数々

他にも現在も使われている特殊な暦があります。

・「ユダヤ暦」……ユダヤの人々の間で使われている「太陰太陽暦」です。
・「エチオピア暦」……エチオピアで主に使われている暦です。
・「チベット暦」……密教の経典に基づいた「太陰太陽暦」です。
・「タイ太陽暦」……タイで用いられている太陽暦ですが、「タイ太陰暦」という「太陰太陽暦」も併用されています。
このような宗教上、また国の成り立ち上の理由でもともと使っていた旧暦、旧暦を改正したものを使用している国はけっこうあるのです。日本のように「えいや!」と一気に太陽暦一本に変更した国はむしろ珍しいのではないでしょうか。

(高橋モータース@dcp)