写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●「ヘッドマウント系デバイス」や「スマートグラス」が流行1月9日まで米ラスベガスで開催されていた世界最大級の家電展示会「International CES 2015」。同イベントではVR機器を始めとした「ウェアラブルガジェット」が注目を集めていたが、日本でも映画やアニメ、ゲームなどに登場してきそうな近未来的ガジェットなどを展示する「第1回ウェアラブルEXPO」が、東京ビッグサイトにて1月14日より16日までの3日間の会期された。

初開催にもかかわらず、多くの業界関係者や技術者が来場した「第1回ウェアラブルEXPO」。所謂ヘッドマウント系デバイスを中心に展示されていた同イベントだが、本記事では、出展していた最新ガジェットや近未来を予感させるサービスの数々を紹介しよう。

○ブラザー工業「AiRScouter WD-200S」

2012年6月に発売されたヘッドマウントディスプレイ『AiRScouter WD-100G/WD-100A』の後継機として、会場で発表されたブラザー工業の『AiRScouter WD-200S』。前モデルの入力インターフェイスがUSB2.0だったのに対して、新モデルではコンポジットとHDMIの2系統の入力に対応。形状もメガネ型から大きく姿を変え、ヘッドバンドに取り付けられたアームの先にディスプレイが取り付けられている。メガネをかけている人でも違和感なくつけることができる上、頭部で本体を固定しているので首を大きく動かしたり素早く動かしてもずれてしまう恐れがない。

また、ディスプレイのアーム可動域が広く取られているため、必要がない時は視線の外に動かすことも可能に。今秋の発売を目指しており、価格も全モデルと同程度を目標としている。

○Recon(美貴本)『Recon Jet』

2013年に発表されたRecon社のサングラス一体型ヘッドマウントディスプレイ『Recon Jet』は、日本では美貴本が代理店を担当することになり、実機を展示。AndroidをベースとしたオリジナルOS「Recon OS」を搭載する本機は、サングラスと一体でスポーツ用途を前提としたモデルになるという。

Wi-FiやBluetoothを使ってスマートフォンとの連動が可能で、9軸センサーや圧力センサー、温度センサー、GPSなどを搭載。ランニングやサイクリングの際のナビゲーションや速度の表示などで使うことができる。このほかにも、自身の行動を記録するためのHDカメラ、スマートフォンと連携した際に通話をするためのスピーカーやマイクロホンも内蔵。担当者によれば、スポーツ用途ということもあり、防水性も高く、雨天の使用も可能とのこと。日本での発売時期は今春を予定しており、販売価格は8万5,000円前後になる見込み。

○カラーリンクジャパン『Wearable 3D-Display cast AR』

クラウドファンディングサービス"Kickstarter"で100万ドル以上の投資を集めた、超小型のメガネ型3Dディスプレイ『cast AR』の実機も展示。本商品は、メガネの上部に2Dのプロジェクタが取り付けられ、ここから投影された映像を再帰性スクリーンに映し出すことで、3D映像を手軽に楽しむことができるというウェアラブルデバイス。メガネをかけたままで使用可能だが、重量は若干重め。投影された映像を立体的に見るための角度もピーキーではあったが、場所を選ぶことなく、このガジェットとスクリーンを用意すれば3D映像が楽しむことができるはず。

●『サマーウォーズ』で登場したようなウェアラブルガジェット○BIGLOBE『AndroidOS搭載スマートウォッチ』

超小型の通話可能なスマートウォッチの試作モデルをBIGLOBEが展示出展。Android4.2.2を搭載する腕時計型の本体には、MicroSIMを内蔵している。本体にマイクやスピーカーも搭載しているので、通話や着信も可能となっているのが最大の特徴。

ディスプレイサイズは1.7インチで、解像は220×176という独自企画のため、GooglePlayなどで提供されているアプリは、試作機の段階では使用できず。回線はドコモのMVNOを使用し、通信方式も3GのWCDMA HSDPAのみとなっているため、4G LTEの通信も不可となる。Wi-FiやBluetooth、GPSなどを搭載しており、Bluetooth接続を使えばヘッドセット・マイクなどを使って通話も可能となっている。

本体は、SIMロックがかかっていないため、通信方式に対応しているSIMを指すことで使用可能。ただ、SIMを交換するためには実機を開封する必要があり、防水性などが失われる可能性があるため注意が必要。とはいえ、SF作品に登場するような腕時計が現実のものとなるかもしれない。発売時期や本体価格、料金プランともに未定。

○UNION TOOL『myBeat WHS-1/WHS-2』

細田守監督のアニメーション映画『サマーウォーズ』で登場したような心臓の状態をリアルタイムでモニターし、異常があれば知らせてくれるウェアラブルガジェット『myBeat WHS-1/WHS-2』。こちらは左胸に装着して、心拍や体表温の計測などを行い、連動アプリから心臓の異常などを知らせる医療目的にも期待できる。そのほか、到底の波形から導き出される情報から、居眠り運転防止などにも役立つという。

現行の製品は2種類あり、ボタン電池で11日間の連続使用が可能な『WHS-1』は、PCとのデータリンクが可能で、2.4GHz帯のWi-Fiを搭載。充電式リチウムイオンを搭載する「WHS-2」は、満充電で約40時間の連続使用が可能で、こちらはスマートフォンやタブレットとのデータリンクにBluetoothを使う。会場では、新潟にいるスタッフが実際に使用している情報がリアルタイムで表示されており、今後の高齢者医療の現場での活躍を期待が期待される。

○帝人/関西大学『ポリ乳酸 圧電ファブリック』

帝人と関西大学による産学協同プロジェクトから生まれた『ポリ乳酸 圧電ファブリック』は、変形すると圧電信号を発する新繊維。これまでは金属線を埋め込んだ繊維などが使われていたが、この素材を使用すれば、普通の布と変わぬ着心地で体の動きのデータを取ることができる。

現在点では開発段階にあるが、実際にロボットを遠隔操作の実演や手袋に埋め込むことでPCのマウスカーソルの操作の実演が行われていた。開発を担当した関西大学システム理工学部の田實教授は「これまでは実現するのが難しかった人間の手の繊細な動きをロボットに遠隔操作することなどが可能になるので、遠隔医療や災害救助などでの実用化を目指していく」と語っていた。

○ソニーモバイルコミュニケーションズ「SmartWatch 3」

「ウェアラブルEXPO」の展示会場とは別に、ソニーモバイルコミュニケーションズがプレス向けに『SmartWatch 3』を使用した6つのデモンストレーションも展開されていた。ここから紹介したいのは、京商のスマホ用コントロールシステム「iReceiver」を搭載したRCカーを操作するオフィスタンデムの『RC Commander(仮)』。スマホと『SmartWatch 3』を連動することで、手の動きに合わせて前進後進、ハンドリング操作が行える。車載カメラからの映像をスマートフォンで受信も可能。

もう一つ操作系として展示されていた、スマホで操作できるラジコン戦車『ポケットアーマー i-driver』を、『SmartWatch 3』を付けた手の動きで操作する京商の『ポケット・アーマー操作アプリ(仮)』。手の動き以外に音声命令も可能となっている。操作が可能な戦車は複数に指令を出すことができ、並列走行や一斉射撃といった戦車戦の醍醐味を味わうことができる。

このほかにも、トヨタの『Vehicle Date Visualizer』に準拠した車両の速度とエンジン回転数を「SmartWatch 3」上で確認できる「Vehicle Date Viewer(仮)」や、楽天がサービスを提供する「楽天GORA スコアカウンター」のスコア入力を『SmartWatch 3』で行う『楽天GORA スコアカウンター〜Android Wear対応版〜(仮)』、スマホのロックを手首の動きで解除するソニーモバイルコミュニケーションズの『フリフリアンロックアプリ(仮)』、ソニーコンピュータサイエンス研究所が開発するスマホやタブレットを使った学習用アプリと『SmartWatch 3』を連携させて、遠隔地からアドバイスやメッセージを送る『開発中の世界算数家庭向け版(仮)』が展示されていた。

(トランジスタ)