ApacerからM.2/CFastスロットを搭載するDDR3メモリCombo SDIMM、信号接続は別途専用SATAケーブルが必要

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PC用の各種メモリを手がける台湾Apacer Technologyが、ストレージ用のスロットが搭載されたDDR3 DIMM『Combo SDIMM』2モデルを発表しました。主に業務用(いわゆる組み込み向け)を狙った製品で、現在サンプル出荷中。現状では発売時期と価格は未定です。モデルの違いはストレージスロットの種類。写真手前にあるのがM.2スロット(接続はシリアルATA 6Gbps)版で、後部にあるのがCFastスロット版です。ストレージ側の信号はCombo SDIMMの左上にある端子からシリアルATAケーブルをマザーボード側に接続します。つまりストレージ機器から見て、DIMMスロットは電源供給の役割しか持ちません。

Apacer側のアピールするメリットは、メモリとストレージの統合によるケース内容積の節約と、マザーボード側にM.2やCFastインターフェイスがなくてもそれらのストレージが使えることです。DDR3メモリとしては、PC3-12800(DDR3-1600)対応のアンバッファード品が搭載されます。ストレージスロットを設けながらも基板の高さは41.3mm。一般的なDDR3 DIMMは30mmなので少し高くなりますが(CFast版はさらにカードがはみ出すのでその分も加わります)、スペース効率は高くなる、という算段です。ここでM.2とCFastについておさらいしますと、M.2は最近の薄型ノートPCなどで使われる小型基板の拡張カード仕様。現状では主にSSDやWi-Fiカードで使われています。SSDの場合、基板の大きさと長さで複数のサイズがあり、接続インターフェイスはPCI Express(PCIe)とシリアルATAの両方が規定されており、さらにPCIe版はレーン数(x2とx4で、x4の方が高速だが対応する機器が少ない)という差までがあるため、現状では購入時に少々注意が必要な規格となっています。一方のCFastは、コンパクトフラッシュ(CF)の後継仕様として登場した規格。CFサイズのカードにシリアルATAそのままの接続インターフェイスを備える点が特徴。そのため理論上は、端子形状変換をするだけでシリアルATA端子でCFastカードが使えます。Combo SDIMMのM.2版が対応するSSD(基板)サイズは、2242/2260/2280の3種類。つまり幅22mm×長さ42/60/80mm。上記の写真は一番短い2242サイズのSSDが装着された状態で、その右にあるのが2260用と2280サイズのSSDを固定するためのねじ穴です。なお、右端にあるねじ穴は22mm×長さ110mmの22110サイズ用と思われますが、プレスリリースには2280までの対応しか記載されていません。また電源供給容量の問題からか、最大容量は256GBと発表されているのが興味深いところです。CFastモデルはCFast2.0規格に準拠したカードが使用可能。こちらも電源供給容量からか、最大容量は128GBまでと発表されています。外観からは、ともすれば面白系グッズにありがちな「合体させただけ系」のサンコー度や上海問屋度が高いデバイスにも見えるCombo SDIMMですが、実はDDR3メモリやシリアルATA 6Gbpsのストレージデバイスは、普及しているとはいえ、本来はかなり微細、かつエラーが起こるとPCが停止するような重要信号を扱う部分です。外観とはうらはらに、信号端子を分けていようとも、こうした状態で安定動作させるのは思いつきでできるほど容易ではありません。その点で技術的にもなかなか興味深いデバイスと言えそうです。