先発として柱となりそうなのは、WBC三大会連続出場の卜濤(河南)というサウスポー。
130キロ後半から140キロにまたがるスピードは中国の左では最速クラス。それでいて、制球もまとまっていてストレートはある程度アウトコースに集まられる印象です。
ただ球筋が素直な上に、球種もスライダーくらいしかない。球速も日本やキューバの代表クラスの打者だと打ち頃のような・・。癖も少ないので比較的攻略しやすいピッチャーかもしれません。
大きな国際大会の経験がない李鑫(天津)も似たようなタイプの左腕ですね。

中国のピッチャーに日本の打者が苦しむパターンと言えば、変則や癖の多い投手を打ちあぐねるパターン。
そういう意味で個人的に挙げておきたいのは、李帥(河南)と羅夏(四川)といったピッチャー。

李帥はいわゆるアンダースローです。190近い長身を持ちながらなぜかアンダースロー。
フォーム的にもタイミングが取りづらいし、ストレートは120キロ台。
日本の打者からすれば逆に打ちづらい「天然チェンジアップ」
これに100キロ台のカーブも混ぜられるので初見じゃ結構打つのは楽じゃないように思えますね。09年のワールドカップではAAA主体のアメリカ代表を見事に抑えたこともありました。

羅夏はぶっちゃけ国内でもたいした実績のあるピッチャーではないようなのですが、アジアシリーズで見た感じだとちょっと癖があって面白いなというか。ハードシンカーというかツーシーム系のボールが主体だったのでその手のピッチャーにあまり慣れてない日本打線なら短いいイニングならコロっと抑えちゃうこともあるんじゃないかなーと。

実績で言えば、外せないのが大ベテラン呂建剛(天津)。
かつて中日所属していた中国代表のエースは、前回大会の中国代表WBC初勝利の時の勝ち投手。
経験やマウンドさばきは中国じゃ突出していますね。
130キロ中盤のツーシームとカーブやフォークを低めに集めるピッチングは今も健在のようです。

そして今回の中国代表最大のサプライズと言えば、パナマ出身の中国系パナマ人ブルース・チェン(ロイヤルズ)の招集。
過去2大会はパナマ代表としてWBCに出場していましたが、予選でブラジルにパナマが負けた為まさかの「鞍替え」
メジャー通算71勝。
昨年も11勝をマークしているバリバリのメジャーリーガーは中国の目標でもある1勝を大きく手繰り寄せる存在。
彼に先発されたら、キューバや日本も楽な試合にはならないんんじゃないでしょうか。

中国のピッチャーは、実力差が1周回って逆に打てないことがあります。
球速が遅いので待ちきれなかったり、狙ってないコースや球種のボールにも思わず手が出てしまったり。球が適度に荒れてるのもそれを助長します。癖のあるフォームのあるピッチャーも多いですし、なにより中国に負けるわけにはいかない、というプレッシャーが重圧にもなります。そこらへんが上手いこと絡み合うと、中国にも十分勝つチャンスが出てくるように思いますね。
シドニー五輪のアジア最終予選の日本戦(0-2)や北京五輪の1次リーグ韓国戦(延長戦の末韓国が1-0で辛勝)あたりはその象徴とも言える試合でしょう。
中国には大勝して当然、という空気=選手へのプレッシャーは日本のメディアは作りすぎない方がいいような気がします。前回も結構接戦でしたしね。


さて、打撃陣に関してはやはり国内での実戦・経験不足が響いてる印象。
やっぱり突然いいピッチャーを打てるようになってるわけがないですからね。
そんな中で頼りになってくるのは、これまでも代表の常連だった経験豊富なベテラン組。
李 磊(北京)と王偉(北京)あたりになりますね。