香川が活躍すれば、後輩の清武も負けじと頑張る。すると本家の本田も意地を見せる。この海外組の活躍は、個人競技に似ている。出世争い見ているような気になるが、一方で彼らは同じチームメイトでもある。個人競技を団体競技の中に落とし込み、生産性を高める必要を感じる。日本代表というお皿の上に、それぞれの素材をいかに見栄え良く盛りつけるか。料理としての完成度を高めるか。この視点は4年間、1日たりとも忘れるべきではない視点だと思う。
 
 彼らの活躍をいかにして2倍楽しむか。本場は1次的な情報を何倍にも膨らまして楽しむコツを知っている。本場たる所以だと思う。地元メディアはフラム戦の香川に8を付けたと言うニュースが流れたが、これも楽しむコツのひとつだと思う。これを知れば「活躍」の程度はあらかた想像できる。3打数1安打なのか。5打数3安打なのか。7回無失点なのか。7回3失点なのか。
 
 なぜそれを、日本のメディアは自らしないのか。現地メディアに頼るのか。それはまだ、日本はサッカーの本場ではないと、みずから述べているようなものだ。もうそろそろ、日本も本場モードでサッカーを伝えてもいい時期ではないかと僕は思う。日本人選手のレベルはそれに近づいている。超える選手も出てきている。代表チームも、監督の采配次第では、イングランドあたりに勝ってもおかしくないほどになっている。彼らの料理の仕方について、ザッケローニに積極的に注文を付けるべき時を迎えていると思う。その及び腰の姿勢と、香川らの活躍とが同じレベルにあるとは思えない。頑張らなければいけないのは、むしろこちら。でないとバランスは取れない。