調理時間ものの20分、んまーい!

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パスタをゆでる段になって気がついた。
「パスタがリングイネしかなーい」
リングイネというのは、断面が楕円になってるパスタ。トマトやクリームといった濃いめのソースと絡めるという使い方が一般的。でも今作っているのは、オリーブオイルで野菜を炒めて、バターと醤油でまとめる和風のパスタ。ノーソース。
「ま、いっか」
海苔をふって完成。うーん、おいしくないわけじゃない。これはこれでアリ…なんだけど、どこかで食べたことあるような……。
あ、沖縄だ。
これ、石垣の定食屋さんで食べた「島焼きそば」だ。

沖縄・石垣島にはじめて行ったのは、約20年前。たまに間が空くこともあるけど、ほぼコンスタントに沖縄に行ってる。実は、ときどき移住も考えて、不動産屋さんのサイトもチェックしている。とうとう沖縄・八重山地方の架空の島・羽照那島に転校した小学生の物語『南国トムソーヤ』なんて漫画も描いた。
エコとかロハスとかスローライフなんて類いとは無縁だし、興味もないんだけどね。うーん、ジリジリと暑いとこで、ビールを飲んで、おいしいものを食べるのが好きなだけかもしれない。

沖縄には、いろいろ独特な食材がある。ゴーヤに島豆腐、海ぶどうに泡盛などなど。最近は大きなスーパーにいくと、内地でも見かけることは多い。それでも沖縄では日常的に食べるわりに、まず見かけないのが「沖縄そば」だ。
「そば」とは言うものの、そば粉は使わず、小麦粉。沖縄では「そば」ではなく「すば」と言う。地域によって違いはあるけど、中華麺のように縮れてないものも多い。これを炒めたのが前述の「島焼きそば」。
一般的には、鰹と豚の合わせダシにゆでた麺を入れて、豚バラ肉を煮込んだものとカマボコ、薬味で、小ネギ、紅ショウガをかけて食べる。専門店もあるし、定食屋や居酒屋でメニューのひとつにあることも多い。

リングイネで「島焼きそば」が作れたんなら、「沖縄そば」も再現できるんじゃ…。
朝ごはんの後片付けをした足でそのまま近所のスーパーへ行ってみた。材料は全部、そこで買えるものばかり。

材料(2人前)
リングイネ 180g
豚バラ肉ブロック 200g
かまぼこ 3〜5mm幅で数枚
 ※紅白でなく、焼き目がついてるもののほうがよりそれらしい
紅ショウガ 適量
小ネギ 適量
泡盛(なければ焼酎)1/2〜1カップ
黒糖(なければ白糖)大さじ2~3

白だし 250ml

1.まずは具材の準備。軽く塩をふった豚バラ肉をひたひたの水でゆでる。泡盛と黒糖を入れ、45分ほど弱火で煮る。臭みとりで、ショウガやネギの青い部分があれば入れる。
2.塩を大さじ1/2〜1弱入れてさらに45分、弱火で煮る。
3.次にスープ。白ダシを火にかける。ちゃんと鰹節からとってもいいけど、市販の濃縮タイプをのばしてもOK。そこにお玉で1〜2杯の2の煮汁も入れる。ラーメンのスープを目安に塩で調味。
4.いよいよリングイネ。パスタを作るときと同じように、塩を入れた沸騰したお湯に入れて表示の時間ゆでる。
5.ゆであがったら、ザルにあけて(水にはさらさない)、豚バラ肉、かまぼこ、薬味をもりつけて、完成。

できた。豚バラ肉のゆで時間をのぞけば、調理時間ものの20分。まかないにも最適。アシスタントちゃんたちと食べる。
「んまーい!」
たしかにこれ黙って出されたら、パスタだとは気づかないかも。リングイネの断面もちょうど本島で食べた楕円型の沖縄そばにそっくり。沖縄で買ってきたコーレグース(島唐辛子の泡盛漬け)をかける。あーもうこれはわかんない。ぜんぜん沖縄そばだ!
作画担当の相方・妹尾が言う。
「もう沖縄行かなくてもいいじゃん」
いやいや、そういうことじゃない。

ちなみに実際の沖縄そばは、ゆであがった麺に油をまぶして、そのまま常温まで冷ますそう。より本格的に再現したい人は、参考に。
(小沢高広)