ウルトラエッグというのはバンダイホビー事業部が今年の4月28日に発売した、新しい怪獣のおもちゃだ。全長約60mm程度の「たまご」が、怪獣や星人に変形するのである。

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次は何が「たまご」化するのか。
それが気になって気になって仕方ないのである。アマゾンの商品ラインアップとか見ると、とんでもないものが「たまご」になる予定みたいだしなー。
なんの話かって? ウルトラエッグのことですよ、ウルトラエッグ。

ウルトラエッグというのはバンダイホビー事業部が今年の4月28日に発売した、新しい怪獣のおもちゃだ。全長約60mm程度の「たまご」が、怪獣や星人に変形するのである。なんでそうなった、と思う人もいると思うが、公式サイトを見ると背景になる物語が準備されていることがわかる。ちょっと引用しますね。

「近未来、人類は未知のオーバーテクノロジーを手に入れた。それは「ウルトラエッグ」。何者かによって、怪獣達のパワーが封印されていたカプセルエッグのコントロールに成功したのだ。EG(エッグ)モードからAT(アタック)モードに変形し、敵と戦う。だが、彼らを生み出した本当の創造主とは、一体何者なのだろうか?」
ちなみに月刊雑誌「てれびくん」では酉澤安施によるマンガ「とびだせウルトラエッグ」の連載も開始している。

第1弾として4月28日に発売されたのは、バルタン星人 ファーストエッグver.(後に普及版も)、ゼットン、エレキング、レッドキング、ダダ、ピグモンの6点だった。5点が「初代マン」で1点が「セブン」からという選択は妥当なものだろう。
正直なことを言うと、この段階ではそれほど「ウルトラエッグ」というコンセプトに魅力は感じなかったのである。理由は、変形がそんなにおもしろくなかったからだ。頭が小さく下半身が大きいレッドキングやエレキングのような恐竜タイプの怪獣は「たまご」から変形させても原型に近づけやすいのだが、ダダのように人間の体型に近い怪獣の場合、どうしても下半身が巨大になりすぎてしまう。その点ゼットンはよくがんばってあの燕尾服のようなイメージを出したと思うし、バルタン星人はあの巨大なハサミを利用することでつりあいをとることに成功した(ただ、顔は初代なのか二代目なのかどっちつかずなのではないかと思う)。もともと手足が小さいピグモンは、まああんなものだろう。

だが2ヵ月後、そんな冷笑的な気分を一新させてしまう「たまご」が登場した。
ウルトラエッグ キングジョーである。これはすごい。だって原作通りの分離合体をやってしまっているのである。四身合体ですよ! 故・金城哲夫もびっくりですよ!
おさらいしておくとキングジョーは「ウルトラセブン」第14、15話「ウルトラ警備隊西へ」に登場した、ペダン星人の操る宇宙ロボットである。最初は4つに分離した飛行物体として登場し、深海にも潜るなど性能の高さをウルトラ警備隊に見せつけた。それが第14話の終りでは六甲山防衛センターへと飛来し、合体して巨大ロボットに変形してしまうのである。残念ながら私は再放送で見た世代なのだが、あれをリアルタイムで体験した子供たちの興奮はいかばかりであったか。その合体場面を、ウルトラエッグは再現してしまうのである。これで定価945円はお得すぎると思います。一家に一体、キングジョーだ。

確証はないが、「独立した飛行物体が合体してロボットになる」タイプの合体ロボとしては、これが日本初だったはずである。日本初ということは、かなりの確率で世界初ということになる。すごいぞキングジョー!(という名前は番組の中では呼ばれなかったが)これは余談だが、後にOVAで制作された「セブン」の続篇では、日本の企業が神戸港に沈んだキングジョーを回収し「平和を守る正義のロボット」として利用しようとする、というエピソードまで描かれている。結局はうまくいかずにウルトラセブンと30年ぶりに戦うことになってしまうのだが、本当に平和利用できていたら、日本初の合体ロボットとウルトラヒーローの共闘もありえたわけである。

そんなわけで、キングジョーを手に入れてから「たまご」コンプリート欲が一気に高まってしまっている。6月28日に発売されたウルトラエッグ ウルトラマンベリアルも秀逸である。ベリアルは映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で初登場した悪のウルトラ戦士で、逆三角形で猫背気味の立ち姿が特徴的だ。そのフォルムを「たまご」を上下逆にすることで実現してしまっただけではなく、絶妙のバランスで自立までさせてしまっているのである。おお、これはベリアル様以外の何者でもないです。

アマゾンの近日発売のところを見ると、年内に予定されているウルトラエッグには、カネゴン、ウルトラマン、メトロン星人、ガンQなどがあり「たまご」を収納できる母船のようなおもちゃも発売されるらしい。個人的に楽しみなのはナースがラインアップに入っていることだ。ナースといえば宇宙竜である。あんな長い怪獣が、どうやったら「たまご」になるのだろうか。変形を見るのが今から楽しみで仕方ない。とぐろを巻くんだろうなあ。さすがに円盤形にはならないんだろうなあ。

ついでなので、個人的に「たまご」化を希望する怪獣・星人の10傑を書いておきます。こんなのが変形したら、本当にすごいと思うんだ。

巨大植物ジュラン(植物ということならワイアール星人やグリーンモンスでもいいです)
毒ガス怪獣ケムラー(あの背中のパカパカ動く殻を再現してほしい)
油獣ぺスター(スーツアクターが二人がかりで演じた「横長」の怪獣をどうやって「たまご」にするのか)
宇宙細菌ダリー(虫型というのはなかなか難しいように思う)
オイル怪獣タッコング(球に近い体型だけに、「たまご」化するとバランスが崩れそう)
古代怪獣ツインテール(意外に再現は楽かも。できれば丸々と海老みたいになるといいのだけど)
始祖怪鳥テロチルス(鳥型の怪獣も一体見てみたい)
ミサイル超獣ベロクロン(サンゴのような凸凹をどう表現するかが決め手か)
うす怪獣モチロン(怪獣というよりは臼なのだけど)
円盤生物シルバーブルーメ(まあ、こんなマイナーな怪獣が採用されることはないと思うのだが、円盤生物ならノーバでもいいです)
(杉江松恋)