「党内の主導権争いに素人大臣を利用するな」
田中家のムコ殿として、イエスマンの政治家人生苦節29年。やっと大臣の椅子をつかんだ田中直紀防衛大臣(71)。ところが、国防への無知をさらけ出し、国会質疑はまるでクイズ番組。このボンクラ大臣には、政治評論家の屋山太郎氏もアキレ顔だ。




 田中大臣の何が問題かって。何も知らないんだから、どうしようもないよ。素直で根は悪い人間じゃないんだが、何も知らないんじゃ、まったくどうしようもないね。国会でクイズ攻めになってるけど、偏差値低い人をイジメてもしょうがないよ。初めから能力がないんだからさ。

 じゃあ、何であんなのにしたかって? 

“参議院のドン”輿石東が顔を利かせたかったからだよ。どじょう戦略で党内分裂のノーサイドを図りたい野田総理は、小沢に近い輿石を党の幹事長に就けて党内融和を図ったわけだけど、その輿石が、かつての自民党の青木幹雄みたいな「参議院のドン」を気取って、大臣の人事権を掌握して実力を示そうとしたからこうなった。輿石は日教組のドンとして、野田総理のやることで気に食わないことがあったらいつでも踏み込んでやろうという腹だから、国民不在もいいとこだね。

 で、野田総理もそんな輿石に押しつけられた大臣ポストがマズイと思ったら意見もするんだろうけど、総理自身が言えるほど他の議員のことを知らないんだろうね。中曽根康弘元総理なんかは、日頃から1年生議員をゴルフに誘ったりして何ができるヤツかの把握に努めてよく勉強していたもんだが、野田総理はそういった勉強もしていないし、しょせんは民主党が寄せ集め集団だったということだね。

 田中大臣の前の一川保夫も「自分は素人」発言で失脚しただろ。そういうことを外部に公言するなんて、資質の前にマナー違反だよ。

 そもそも鳩山元総理が普天間基地の県外移設を言いだして、沖縄の県民感情を逆なでして、米国からは信頼を失った。そこで、一川が失言して、今回の田中は何も知らないときている。つまりはこの政権は、国防の意識が薄いってことなんだよ。普通は国防は、どこの国でも最重要政策の一つなのにね。米国は諦め、中国にしてみたら、「いくらでもダマせる、しめたもの」ってとこだね。

 ところが、攻める自民党も谷垣総裁がバカだからアテにならない。だから、少なくとも現時点では、田中を代えるしかない。防衛副大臣の渡辺周や総理大臣補佐官(外交および安全保障担当)の長島昭久なんかは防衛をわかっているから彼らに代えればいいんだが、野田総理に独自の人事権がないんだから、結局は輿石がガンでどうしようもない。彼らには、「何でこんなのを大臣にしたのか」って問題の自覚がないということ。トップ連中がこんなだから辺野古の問題でも進展は期待できないだろうね。