タイガース関連に限らず、プロ野球関連ブログでも記事題材になっている予告先発の件。セ・リーグが予告先発の採用について検討に入ったようだ。


予告先発をすれば、お目当ての投手が先発と分かっていれば、その日のチケットを持った現地観戦ファンは、当たりくじをもって球場へ出かけられるようなものだし、開始直前に先発投手が発表されて予想が外れてガッカリするようなこともなくなる。


前日の予告先発で、明日球場へ見に行こうと思うファンも増えるであろうが、その逆もあり得る。


一方当事者である両チームの首脳陣は、余計な苦労をせずに済むメリットがある。明日は吉見が投げそうだから左打者を並べてみたところ、蓋を開けてみたら先発は左投手だったなんてことは回避できるし、先発が分らないときに、当て馬として偵察メンバーを使うこともない。


個人的な見解で言えば、断固とまではいかないが反対意見である。予告先発をしてしまえばファンの楽しみが減るというのも事実だ。


予想に反して思いがけない投手が先発したりすれば、ある意味での興奮を感じるし、予想が外れて左を並べたら、逆にその左打者がバカスカ打ってしまうのも野球の面白さである。


野村の爺さんが大反対しているようだが、弱小だった4球団を渡り歩いてきたノムさんらしいコメントとも言える。弱小球団は相手に読まれないような奇策をしないと勝てなかったので、試合前から手の内を読まれないようにしておく必要があったのだ。


もしノムさんが黄金時代の阪急や西武、そして讀賣あたりの監督ならこんなコメントは言わなかったと思う。強い球団は相手投手によって打順や人選が変わることはまずないわけなので・・・。


予告先発で違和感が大きいのは日本シリーズなどの短期決戦だ。短期決戦こそ騙しあいの妙味があり、戦う前から始まっているという雰囲気が一層ファンの興味を引き付ける。アッと驚く先発起用があればファンもわくわくするし醍醐味でもある。


昨年の日本シリーズが良い例だ。吉見先発を匂わせて初戦はチェン。負けはしたが落合の起用は見応えがあった。短期決戦にこそ“駆け引き”は欠かせない。


落合という監督はこういう駆け引きも凄くうまかった。情報によれば、岩瀬の疲労度を考え、試合状況とは無関係に、今日は投げさせないと決めて家に帰したことが何度もあったそうだ。もちろん、相手チームは岩瀬がベンチにいるという状況と思い込ませ、誰にも分らないようにこっそりと帰らせていたのだ。


逆に以前こんなことがあった。ジェフ・ウィリアムス最後の年だったと思うので2009年。であれば真弓監督の1年目だ。ジェフも調子が悪かった時期ではあったが、甲子園のゲームで相手の投手を読みきれなかったタイガースベンチは、なんと偵察メンバーにジェフを当て馬に使ったのだ。


「ジェフは調子が悪いので今日は投げません・・・」 相手チームに宣言しているような偵察メンバーだった。落合ならこんな使い方は絶対にしなかったろう。ジェフがいつ出てくるか・・・ 調子が悪いにせよ、ジェフがベンチにいるということだけで相手の作戦も変わってくる。これも首脳陣の頭脳だ。


予告先発ならこんなことも考えなくてよくなる。野村の爺さんが言っていたように、監督が育たない温床になるというのも一理頷けるような気がする。


おまけに言えば、昨年の交流戦で広島の野村監督が、今村を偵察DHに起用して、ルールの勘違いから打席に立たせなくてはいけない羽目になったが、こんなご愛嬌も予告先発になったら起こらない。

こういう珍采配もファンにとっては楽しいものだが・・・