「富山戦のことは選手に話した(※東京はJ2第26節で大木監督の弟子、安間貴義監督率いるカターレ富山の高い位置での猛プレスに敗れている)し、オレも工夫した。ヒデ(高橋秀人、中盤のアンカー)を3バック気味に入れて5-2、4-2くらいで廻したのがハマったと思います」

大熊東京のラストに必勝を期した東京イレブンは、気持ちがいつも以上に入ってもいた。
もともとタレント揃いの東京が相手、そのイレブンの気力が最高潮に充実し、対策を施された状態であれば、京都の敗戦も致し方ない。

大木監督の試合後のスピーチは、打倒J1から優勝へと、段階的に上がったハードルを最後まで超えられなかった無念さにユーモアをまぶす、秀逸なものだった。
夢の終わり。けれども、たしかに京都のサッカーは日本中に衝撃を与えた。
未完成でこれだけのことをなしえたのである。選手たちは1-4となっても諦めずに2点めを獲った。そこに可能性がある。

大木監督が考える日本人に適合した近未来のサッカーを、スカラーアスリートプロジェクトから育った若い優駿が実践する。カンテラ出身者が黄金時代を成したバルサのように、サンガ時代がやってくるかもしれない。
負けず嫌いの大木監督のことだから準優勝は悔しいにちがいない。それでもこのシルバーメダルには礎を築いた証明としての価値がある。だからあえて言おう。おめでとう、大木サンガ。


■著者プロフィール
【後藤勝】
東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。
2011年3月、FC東京の取材に特化した有料メールマガジン「トーキョーワッショイ!MM」を創刊した。

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