#23 マイケル中村 - Micheal Nakamura 
 
リリーバー、右投右打 
2004年ドラフト4巡目(日本ハム) 
ウェズリー・カレッジ高〜サウスアラバマ大〜ミネソタ〜トロント〜日本ハム〜読売〜埼玉西武ライオンズ 
奈良県出身、1976年9月6日生、178cm / 82kg


埼玉西武ライオンズが、読売ジャイアンツを戦力外になったマイケル中村投手を獲得した。筆者はこの補強は、素晴らしい補強だと考えている。過去97年に肘を手術をし、日本ハム時代には腰痛を患ったマイケル中村投手だが、西武球団が獲得をしたということは、メディカルチェックには問題はなかったのだろう。プレーができる体の状態であるならば、この補強は間違いなく吉と出るはずだ。 
 
マイケル中村投手は、多くのライオンズ投手陣が持ち合わせていないものを持っている。それは燃えるような闘争心だ。以前はライオンズにも石井貴投手やデニー投手、豊田清投手や松坂大輔投手という、闘争心むき出しで投げる投手たちが多く在籍していた。しかし今やそれをスタンドまで届かせ実感させてくれる投手は数少ない。そんな中にマイケル中村投手のようなリリーバーが加われば、これまでライオンズに足りないとされていたエッセンスが加えられることとなり、ブルペンには層や数字以上のプラスがもたらされるはずだ。 
 
肘の手術を経験していることが影響しているようだが、マイケル中村投手は変則サイドハンドスローだ。日本ハム時代には筆者も西武戦でよく見た投手だが、あの投げ方は正直なところ打ちにくいと思う。それに加え150km前後のスピードボールに、切れのあるスライダーやスラーブを織り交ぜてくる(ムーヴィングボールを使っていた印象も筆者には少し残っている)。日本ハム時代の計4年のうち、3度イニング以上の奪三振数を記録していることにも十分頷ける。 
 
だがマイケル中村投手の場合、1つ大きな課題がある。それは捕手だ。日本ハム時代には中嶋聡捕手が専属捕手を務めていたが、中嶋捕手以外の捕手とバッテリーを組むと、極端に成績が下降した。ライオンズは日本ハムと同じパ・リーグであるため、この傾向は当然把握していると思う。それを把握しての補強なのだから、やはり打開策もある程度は持っているのだろう。 
 
マイケル中村投手にとり、果たして炭谷銀仁朗捕手がいいのか、はたまた星孝典捕手がいいのか、筆者にはまだ皆目見当が付かない。しかし春季キャンプやオープン戦で試行錯誤を繰り返していけば、開幕までにはある程度の答えは整っているはずだ。 
 
巨人時代には3年間で1年しか大きな活躍ができなかったマイケル中村投手だが、この投手の再生は十分に可能だ。そもそもマイケル中村投手は投げて投げて調子を上げていく投手だと筆者は考えている。年齢的に来季は36歳となるため、日本ハム時代のようなフル回転を期待するのは難しいだろう。しかしミンチェ投手の穴を埋めるには十分過ぎる投手だと思う。そしてセットアッパーとしてだけではなく、活躍次第ではクローサーに名乗り出ていいだけの実績を持った投手だ。ライオンズでは、巨人時代以上の活躍の場が与えられるはずだ。そのチャンスをマイケル中村投手がしっかりと掴み取ることができれば、これは本当に大きな補強だったと一年後に振り返ることができるはずだ。 
 
さらにはマイケル中村投手自身が口にしているように、彼の役割はマウンド上だけにあらず。来季ライオンズには4人の新外国人選手が加入するわけだが、彼らへのアドバイザー役も、マイケル中村投手に課せられた重要な使命だ。「地位は人を育てる」とはよく言われることだが、このようにライオンズがマイケル中村投手の実績を尊重し、責任を与えてあげることで、マイケル中村投手は必ず再起するはずだ。そしてその期待を意気に感じてくれるのが、日本人の父を持ち、日本・豪州の両国籍を持つマイケル中村投手の魅力の1つなのだと、筆者は信じている。