インタビュー:チュ・ジンモ「男同士の絆は一生」
ジョン・ウーによる名作映画「男たちの挽歌」から25年。新たなるストーリーを加え、リメイクされた映画「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」。ソン・スンホンとチュ・ジンモという2人の韓国スターが運命に翻弄される男を切なく、力強く演じ上げた。今回は、武器密輸組織の大物であり、過去に傷を持つ男“ヒョク”を演じたチュ・ジンモにインタビュー。撮影秘話や、オリジナル要素への見解を聞いた。
また、本当の兄弟ももちろん、実際に血はつながっていないけれど、本当の兄弟を越えた“義兄弟”という関係も、この映画を語る上で欠かす事の出来ない存在です。
同じ人間なのにそれぞれが置かれていた環境によって、そういった立場になってしまう。その心の痛みを、表情から感じ取っていただければと思っています。
「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」ストーリー
ある出来事をきっかけに、生き別れになったキム兄弟。数年後、兄のヒョクは武器密輸組織の大物に、弟・チョルは組織を追う刑事という対立する立場になっていた。また、組織のエースのヨンチュン、その部下のテミンらの運命が絡み合い、男たちのドラマが繰り広げられる。
・男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW - 作品情報
――今回、ジョン・ウー監督作品「男たちの挽歌」のリメイク「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」に挑まれたわけですが、名作をリメイクする事で意識した事はありますか?
チュ・ジンモ:オリジナルの「男たちの晩歌」は本当に素晴らしい作品だと思います。ですので、私達はリメイクが決まった瞬間に、その素晴らしい作品を汚すことだけは無いようにしようとまず思いました。そして、オリジナルには無い「兄弟愛」と「義兄弟」という要素を入れて、オリジナリティを持たせ、新たな作品を作り上げようと努力しました。――私は個人的に、韓国は世界の中でも特に家族愛を大切にする国民性があると思っていて、だからこそ、この「兄弟愛」というテーマが広く支持されたのでは無いかと感じました。
チュ・ジンモ:そうですね。おっしゃる通り、韓国はとても家族愛を大切にする文化があります。しかし、最近では韓国でも核家族化が進んでいて、家族がより細分化されている現状があるんですね。そういった背景もあって、より「兄弟愛」というテーマが受け入れられたのでは無いかと思います。この映画は、最初から「家族愛」をテーマにしているわけでは無いのですが、結果的に強く家族愛を感じられる作品に仕上がったと思っています。また、本当の兄弟ももちろん、実際に血はつながっていないけれど、本当の兄弟を越えた“義兄弟”という関係も、この映画を語る上で欠かす事の出来ない存在です。
――確かに、女性キャラクターの登場もほとんど無く、男同士の強い絆が感じられる作品でした。チュ・ジンモさんは男同士の絆について、特に感じる事はありますか?
チュ・ジンモ:男同士の絆というのは、一度結ばれると一生途切れない物です。しかし、女性と男性の絆というのは“愛”という言葉で表現されて、永遠とは言い切れないですよね(笑)。そういった部分が男女の差であると思いますし、興味深い部分だと感じています。――その、固く結ばれた男同士の絆が特に印象的だったのが、食事のシーンです。ヒョク(チュ・ジンモ)とヨンチュン(ソン・スンホン)、ヒョクとチョル(キム・ガンウ)の食事のシーンが2人とのそれぞれの関係を象徴している様に感じました。
チュ・ジンモ:今、食事のシーンの事を聞かれてとてもびっくりしています。というのも、もともとそのシーンはシナリオに書かれていなかったものなんですね。自分達で撮影を進めていく中で、感情的なシーンをより拡大していこうという気持ちがあって、ひとつの装置として、食事のシーンを入れ込みました。これから観ていただく方にも注目していただきたいシーンです。――また、「兄弟愛」と共にもう一つ大きなテーマである「脱北者」については、どうお考えでしょうか?
チュ・ジンモ:脱北者というのは、韓国の中でも難しい立場を強いられているのが事実です。韓国人から見て、なかなか同じ韓国人という意識がなくて、どうしても外国人として見られてしまうのが現状です。今回の映画でも、そういったイメージをストレートに表現しています。私が演じたヒョクというキャラクターを含め、弟や仲間もとても苦労しているし、最後に悪役のキャラクターが「お前達の国に帰れよ!」と怒鳴るシーンも、その一面が現れていると思います。同じ人間なのにそれぞれが置かれていた環境によって、そういった立場になってしまう。その心の痛みを、表情から感じ取っていただければと思っています。
「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」ストーリー
ある出来事をきっかけに、生き別れになったキム兄弟。数年後、兄のヒョクは武器密輸組織の大物に、弟・チョルは組織を追う刑事という対立する立場になっていた。また、組織のエースのヨンチュン、その部下のテミンらの運命が絡み合い、男たちのドラマが繰り広げられる。
・男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW - 作品情報