『経験経済』(1999)の中で、パイン&ギルモアは、経済システムは次のように変化していると述べています。

農業経済

産業経済

サービス経済

経験経済

そして、それぞれの経済において、売り手の役割は以下のように変化しています。

取引業者

メーカー

プロバイダー

ステージャー

農産物が主な商材であった「農業経済」では、売り手は、自然から収穫されたものを市場で相対取引する‘取引業者’という役割でした。

モノ(有形物)が主流となった「産業経済」では、モノを製造する‘メーカー’としての役割がメイン。

サービス(無形財)が主流の「サービス経済」では、有形物を製造することよりも、サービスを提供することが重要なので、売り手は、‘プロバイダー’と呼ぶのがふさわしい。

そして「経験経済」では、‘思い出に残るような経験’を買い手に提供するための「場=ステージ」を演出する‘ステージャー’としての役割が求められています。この経験経済の中で、買い手たる顧客は、「クライアント」というよりは、「ゲスト」と呼ぶべき存在になります。

今はまさに、経験経済の真っ只中にいると言えますね。

例えば、デパートの外商さんは、富裕層を相手にしているわけですが、デパートで売っているようなものはほとんど持っていて、もはや欲しいものはないと言われる。

むしろ、「今持っているドレスやバッグを身に着けていける 機会・場所が欲しいわ」と外商さんに言うのです。つまり、何かを売るためには、それを活用できる「ステージ」も用意してあげないといけないのです。

また、カフェにもっとお客を呼びたければ、例えば、「早朝の街のゴミ拾いボランティア活動」みたいなものとセットで仕掛ける。ちょっと善いことができるステージを提供することでカフェへの集客増も実現する。


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