実は「続投に前向きだった」中日・井上監督 “心が折れた”シーズン最終盤の「決定的出来事」とは 「逆転負け40試合」の投手陣を立て直せる「外部招聘監督」の名前
中日の井上一樹監督(55)が今季限りで辞任することが正式に決まった。就任2年目の今季は59勝81敗2分で最下位に低迷(10月1日現在)。3年契約の途中だが、成績不振の責任を取る形でユニフォームを脱ぐことになった。その裏側には何があったのか。注目される新たな監督の人選は?
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観客動員は好調
昨年は借金15で4位に終わり、今年も春先から借金が積み重なって早々と優勝争いから脱落したが、「井上監督は来季も続投するのでは」という声が上がっていた。本拠地・バンテリンドームの観客動員数が好調だったことが大きな理由で、実際、今季の平均入場者数(9月30日現在)は3万5687人と昨季を上回り、セ・リーグでは阪神、巨人に続く3位、12球団でも4位となっている。

中日を取材するスポーツ紙記者は「井上監督は前向きな姿勢を崩していなかった」と振り返るが、6年連続Bクラスが決まった9月19日の巨人戦(東京ドーム)以降、ある変化を感じたという。
「この試合で1-14と大敗を喫し、東京ドーム最後の試合だったので左翼スタンドに監督、選手が挨拶に向かったのですが、ファンから強烈なブーイングが起こったんです。これには監督の表情がこわばっていましたから、ショックは大きかったと思います」
実際、その際の映像には、ベンチからノロノロと歩いてレフト方向に出てくる選手やスタッフに向けてサムズダウンのポーズを取り、容赦なくブーイングを飛ばすファンの姿が多数見られる。その大きさは、相手チームの巨人のコーチや選手が思わず振り返るほど。ファンの我慢が限界に来ていることがよくわかる瞬間だった。
「14失点は今季ワーストでした。加えて、選手からの求心力が低下していたのも事実です。井上監督はベンチワークに長けたタイプではなく、ナインを鼓舞するモチベーターのタイプですが、借金が積み重なって、ポジティブにコミュニケーションを取ろうにも選手の反応が薄くなっていった。一部の主力選手たちは自信を失い、勝っても負けても淡々としていた。チーム一丸という状況には程遠かったですね」
チームの体質を変えるには
最近10年間で一度も優勝争いに絡めず、Aクラスの経験も3位に入った20年のみ。ただ、戦力が他球団に大きく見劣りするわけではない。今年は多くの野球評論家が、リーグ連覇を狙う阪神の対抗馬に挙げるなど戦前の下馬評が高かった。が、3、4月に8勝19敗と大きく負け越したのが響いた。10月1日時点で借金は22にふくらみ、逆転負けは球団史上ワーストの40試合。中日OBは「40試合も逆転負けがあるのは異常です。半分近く減らしたら優勝争いできるわけですから、救援を中心に投手陣を立て直すのが最大の課題でしょう」と指摘する。
この観点で言えば、現役時代、リリーバーとして活躍した落合英二・投手コーディネーターが内部昇格するのが有力な選択肢に挙がる。前出のスポーツ紙記者は、「22年から1軍ヘッド兼投手コーチ、2軍監督を歴任して球団の内部事情に精通していることが大きな強みです。選手たちに慕われていますし、能力を伸ばす指導能力に長けています」と評する。
ただ、立浪和義前監督、井上監督と、現役時代に中日一筋だった生え抜きを監督に登用して結果が出ていない現実がある。パ・リーグ球団の2軍監督を務めた球界OBは、「中日は低迷期が長らく続いている。監督選びを外部招聘でチームの体質からガラッと変える必要があると思います。ソフトバンクで常勝軍団を築き、勝ち方を知っている工藤公康氏、オリックスでリーグ3連覇を達成した中嶋聡氏の招聘を検討するべきでしょう」
桑田氏は喜んで引き受ける!?
巨人で昨年まで2軍監督を務めたオイシックスCBOの桑田真澄氏の名前も一部のメディアで監督候補に挙がっている。桑田氏は21年から巨人のコーチを務め、昨年は二軍監督としてチームをイースタン・リーグ優勝に導いた。1軍監督の有力候補と見られていたが、フェニックスリーグを終えて帰京後に球団からフロント入りの打診を受けて電撃退団した。巨人OBは「桑田さんが巨人に戻る可能性はゼロに近い」と明かす。
「球団内部で指導能力を評価する声は少なくないですが、山口寿一オーナーのお気に入りは今年のシーズン途中に辞任した阿部慎之助前監督です。桑田さんより阿部さんが復帰する可能性の方がはるかに高いでしょう。一方で、桑田さんはそこまで巨人に執着しているわけではない。仮に中日から監督のオファーを受けた場合、球団のビジョンを話し合った上で納得できたら、喜んで引き受けるんじゃないですかね」
現場だけの責任ではない
ただ、桑田氏には1軍で監督経験がないためベンチワークには未知数の部分がある。投手陣の再建に注力する一方で、ヘッドコーチは野手出身の指導者が適任と言える。有力候補として考えられるのが、共に中日OBで侍ジャパンの井端弘和前監督、フロント入りしている荒木雅博球団本部長補佐だ。
「ミゲル・サノーの加入で打線の破壊力が上がりましたが、走塁や守備はもっと突き詰める必要がある。黄金時代を築いた落合博満元監督の下で中心選手として活躍した井端氏、荒木氏の頭脳を生かさないのはもったいない。一つのプレーにこだわって緻密な野球の精度を高めれば、新庄剛志監督が就任して生まれ変わった日本ハムのように優勝争いの常連になる可能性があります」(スポーツ紙デスク)
中日の成績低迷が続いているのは、現場だけの責任ではない。優勝争いから遠ざかっているシーズンが長らく続いている状況を球団フロントがどう捉えるか。新監督だけでなく、コーチの組閣、戦力補強とチーム強化に向けての本気度をファンは注視している。
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デイリー新潮編集部
