CLのブルージュ戦で勝利に貢献した鈴木。その配球や足もとのプレーが評価された。(C)Getty Images

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 お馴染みのCLアンセムが流れると、アストン・ビラの守護神・鈴木彩艶は少しばかり誇らしげな表情を見せた。

 9月8日、敵地で迎えたクラブ・ブルージュ戦。日本人GKとして初めて、鈴木はCL本戦のピッチに立った。

 最初のプレーから、鈴木らしさが出た。バックパスを受けると、右サイドのアーロン・ワン=ビサカへ長いフィードを通した。そこから攻撃が始まり、最後はエミリアーノ・ブエンディアがシュート。英国で中継したTNTスポーツの実況は、チャンスの起点となったGKを称賛した。

「ご覧の通り、鈴木の配球は、すでに素晴らしいレベルにあります」

 実況席の評価は、一本のパスにとどまらなかった。「ビラはここ数年、優れたゴールキーパーに恵まれている」と実況が名前を挙げたのは、前任者のエミリアーノ・マルティネスだった。アルゼンチン代表のGKとして4年前のW杯で優勝し、今夏も準優勝に貢献した名手である。その後を継いだ鈴木について、こう続けた。

「鈴木も、マルティネスと同じタイプのゴールキーパー。足もとでボールを持つことを好み、落ち着いていて、ボールを保持している時も余裕があります。クロスがボックス内に入ってくる場面でも、ペナルティエリア内で非常に存在感があります」

 鈴木が味方のDFとパスを交換していた時には、元選手の解説者ルーシー・ウォードが、鈴木の視線の先に注目した。近くの味方とボールを動かしながら、鈴木はその奥の前線も見ているという。

「鈴木は、ブルージュの選手たちを前に引き出そうとしていますね。ブルージュは高い位置からマンツーマンで捕まえようとしていますから、鈴木のパスレンジを考えれば、この試合で短いパスと長いボールを織り交ぜていくことになるでしょう」

 相手が寄せてくれば、その背後へ届けるパスも選べる。最初のフィードで見せた精度があればこそ、前から捕まえに来る相手にも、落ち着いて次の手を探れる。英メディアは鈴木の足もとの技術に加え、その使い方まで見ていた。

 英紙『デーリー・テレグラフ』も、ビラの攻撃の組み立てが鈴木から始まることに注目した。足もとの技術と多彩なパスで高く評価されてきたブラジル人GK、エデルソンを例に出し、鈴木を「ビラ版エデルソン」と表現している。加入間もないGKが、早くも攻撃の起点となる役割を担っていた。
 
 後半には、ゴール前で踏ん張る時間が続いた。ビラは前半を3-1で終えたが、PKで1点差に迫られると、ブルージュの攻勢を受けた。鈴木はヒューゴ・ヴェトレセンの難しいシュートを防ぎ、同点を許さなかった。直後のCKでは、至近距離のヘディングに触れたボールがポストを叩き、跳ね返りを収めた。ここは幸運にも助けられた。