アメリカの大手日刊紙であるニューヨーク・タイムズがOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で訴えた訴訟で、アメリカの司法省が「AIのトレーニングで著作権保護対象の資料を使うのは著作権法違反ではない」と主張し、OpenAIを支持する意見書を提出しました。

STATEMENT OF INTEREST OF THE UNITED STATES

(PDFファイル)https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.nysd.640396/gov.uscourts.nysd.640396.1682.0.pdf

Justice Dept. Sides With OpenAI in New York Times Copyright Suit - The New York Times

https://www.nytimes.com/2026/09/02/technology/justice-department-openai-copyright-suit.html

US government backs OpenAI in New York Times copyright case | Reuters

https://www.reuters.com/legal/litigation/us-government-backs-openai-new-york-times-copyright-case-2026-09-02/

Trump administration sides with OpenAI in lawsuit against New York Times | Technology | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2026/sep/02/trump-new-york-times-lawsuit-ai

司法省は意見書の中で「著作物を用いてAIモデルをトレーニングすることが著作権法上の『フェアユース』に該当するかどうかに強い関心がある」と前置きした上で、AIを他国が軍事利用する可能性がある以上、アメリカの国家安全保障のためにも国内のAI産業の発展を阻害するような法規制はするべきではないと言及。

そして、「イノベーションと表現の自由を促進するという国益に添う形なら、『著作権で保護された資料を用いたAIモデルのトレーニング』自体は『著作権法に違反するものではない』」と主張しました。



また、今回のニューヨーク・タイムズとOpenAIの訴訟について、司法省は「ニューヨーク・タイムズを含むメディア各社、出版社はジャーナリズムやその他の目的で大規模言語モデル(LLM)を活用しており、また、LLMはすでに様々な分野の研究者が画期的な成果を挙げるのを助けています。フェアユースの法理に対する誤解に基づいてLLMの開発を制限することは、創造的・科学的進歩を阻害すると同時に、アメリカの繁栄と経済的流動性を妨げるものです」と述べました。

その上で、「ライセンス料が必要だとするなら、支払えるのは資金力のある大手のテック企業に限られる」「メディア各社がこれまでに発信した文章量は膨大で、ライセンス料を徴収するとなると対価として不釣り合いなほどの大きな利益をもたらす」「著作権法の拡大解釈で妨げられることがなければ、LLMは大手出版社と独立系出版社の競争条件を平等にする助けになり得るし、そうあるべき」「ライセンス取得という参入障壁によって、最大手のテック企業がLLMのトレーニングを寡占する状態は公共の利益に反する」などの理由を挙げ、ニューヨーク・タイムズ側の主張を退けるよう、「強い興味がある」という表現で裁判所に圧力をかけています。

司法次官のスタンリー・ウッドワードJr.氏はXへの投稿で「司法省がフェアユースの法理に基づき、著作物を用いたAIトレーニングは著作権法違反にならないという歴史的な意見書を提出しました。トランプ大統領は、AI分野での優位性が国家安全保障や国家の繁栄、すべてのアメリカ国民の経済的流動性を促進するのに極めて重要であることを示してきました。トランプ政権は、著作権法に対する明らかに誤った理解を理由として、アメリカが外国の敵対勢力に対して不利な立場に置かれることを決して許しません」と述べました。



ニューヨーク・タイムズの広報を担当するグラハム・ジェームズ氏は「司法省は、アメリカのクリエイターを犠牲にして、ごく一部の『時価総額1兆ドル規模のAI企業』の側に立っています」「企業が許可や補償なくコンテンツを利用できるようにするという政権による提言は、健全な社会が依存し、かつAIが機能するために不可欠な、人間によって生み出されるコンテンツの持続可能性を損なうものです」とコメントしています。

なお、司法省が発表した意見書に法的拘束力はありませんが、政権による助言としての重みがあり、OpenAIなどのテック企業側が著作権侵害の訴えに対抗する際の後押しになる可能性があるとロイターは指摘しています。