「法改正で残業削減が義務化され、文科省が『早く帰れ!』と圧力をかけた結果、表向き残業時間は減ってきてます。ところが、仕事を家に持ち帰る“隠れ残業”が増え、そこに教員不足が追い打ちをかけている。サッカーに例えるなら、常に9~10人しかいないうえに交代選手がいない状態で、『働き方改革どころじゃない!』と憤る教員は多いのです」(妹尾氏)

 生徒と保護者への影響も深刻だ。山口県の公立中学2年の男児を持つ母親は、2か月病休していた数学の教員が新学期も休んだままだという。

「来年は受験だし、心配で塾を探したけれど、同じ理由で塾に通い始めた子供たちが多く、どこにも空きがない。田舎は都会のように多くの塾なんてない。塾に通えたとしても、夜10時に終わるのでクルマで迎えに行かなくちゃいけない。共働きでは無理です。結局、オンラインの塾に入り、月2万円の出費。買う参考書や問題集も増え、家庭にしわ寄せが来る。教員不足は、教育格差を生むんです」

 島根県在住の母親も、中学1年の娘が通う学校で「英語の担任が長く病休中」だと話し、こういぶかしんだ。

「『最近、英語がプリントばかりなんだよ』と子供が言ってきて。他の先生が授業をしたり、課題や自習の日が増えたというんです。学校からは『時間割の変更』と連絡が来て、確かに授業時間が減っているわけじゃない。まさか代わりの先生がまだ来ていないとは……。学校は『教員不足ではない』という言い分ですが、じゃあこの状態はいったい何なの、って思います」

 タワマン建設ラッシュの都市部では、生徒の急増で教員が足りなくなる学校が多い。それでも、学校は「教員不足」とは言わない。

「新設のマンモス校で、タワマンが一つ建つたびに教室を増やして対応してますが、先生が増えるわけじゃない。生徒が桁違いに多いので、『最近、元気がない』『給食を残している』といった変化に気づきにくくなっている。大規模校で怖いのは、実は、授業ができなくなることだけでなく、困っている子供に気づくのが遅れること。何とか担任を埋めているので『欠員ゼロ』ということになっていますが、この2年綱渡り状態。でも、保護者には言いづらい」(神奈川県公立小・30代女性教員)

◆「教員不足ではない」は調査データのマジック!?

 支障が出ているのに、「教員不足」ではないのはなぜか。前出の妹尾氏が説明する。

「休職中の数学の教員の代わりに体育の教員が数学の授業をしてたら、保護者はおかしいと思うでしょう。でも、やむを得ない場合には免許外教科担任制度があり、例外的に専門外でもよく、実際、全国で約1万件も行われている。また、補充されたのが非常勤の教員でも、文科省では『欠員』とはならない。だから、明らかに先生が足りなくても『教員不足ではない』と言えてしまうケースも出てくる。ただ、非常勤教員がやるのは原則、授業のみで担任はできない。保護者との連絡、教員の会議や部活の顧問などの校務もしません。授業の穴埋めはできても、常勤教員の負担は重くなってしまう」