編集部のアカウントに届いた不審なメッセージ

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 飲食チェーンの「かつや」を名乗るアカウントから届いた、1000円分のプレゼント案内。ところが案内に従って進んでみると、なぜか現れたのは「セブン-イレブン」のキャンペーンサイトでした。

 しかも、そのサイトは後日「熊本地震の復興応援」をうたうページへと突然変貌。いったい何が行われているのか?

 おたくま経済新聞の公式Xに届いた不審なメンションをきっかけに、その先を追いました。

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■ 所在地はインドネシア?かつやを装いながら誘導先はなぜか「セブン-イレブン

 まず、メンションを送ってきたアカウントを確認すると、おたくま経済新聞だけでなく、複数のアカウントに同じ投稿を送りつけていることが分かりました。

 過去の投稿は、編集部にメンションが送られてきた8月13日18時30分台に集中するわずか10件。フォロワーは0人、所在地はなぜか「インドネシア」。どう見ても「かつや公式」と呼ぶには無理があります。

 とりあえず指示通り固定ポストを確認すると、「お手続きはこちら」という案内とともにリンクが貼られていました。ところが、添えられていたバナー画像に描かれているのは、なぜか「セブン-イレブン」の創業感謝祭らしきキャンペーンかつやを名乗っておきながら、誘導先はセブン-イレブン……早くも話が噛み合いません。

 リンクをタップすると、今度こそ「セブン-イレブン」の特設サイトらしきページが表示されました。URLには「seven」の文字列が入り、タレントの画像まで使用されています。一見しただけでは、公式のキャンペーンサイトと勘違いしてしまいそうな作りです。

 しかし、ページ内の「会社概要」や「お知らせ」をタップしても別ページには遷移せず、トップに戻されるだけ。見た目だけをそれらしく整えた、いわば“ハリボテ”のサイトです。この時点で、少なくともセブン-イレブンの公式サイトではないことは明らかでした。

■ LINEへ誘導され「感謝特典」の甘い罠 友だち数はわずか62人

 ページ内の「賞品引換はこちら」をタップすると、今度は「公式LINE」で手続きを進めるよう促すポップアップが表示されました。

 「次へ進む」を押すとLINEアプリが起動し、「セブン-イレブン|特典ご案内」という未認証アカウントが現れました。友だち数はわずか62人。全国展開する大手コンビニチェーンの公式アカウントを名乗るには、あまりにも不自然な数字です。

 そのまま友だち追加すると、すぐに自動返信のメッセージが届きました。そこには「条件達成で1000円分〜最大10万円分の特典を進呈」とあり、キャンペーンに参加するには「参加する」と返信するよう促されます。

 指示通り「参加する」と返信すると、「感謝特典として300円分のPayPayマネーを付与する」とのメッセージが届きました。ところが、受け取り手続きとして求められたのは、「PayPay ID(または登録電話番号)」「年齢」「職業」の3項目です。

 ここで記者の脳裏に、強い既視感が走りました。この流れは、今年1月におたくま経済新聞で取り上げた「企業公式を装う特典案内詐欺」と、ほぼ同じ手口です。

 詐欺の現場では、看板だけを付け替えて同じ手口を使い回したり、一部を変えたり、別の手口と組み合わせたりしながら展開するケースは珍しくありません。今回も、過去に使われた文面や仕組みを流用していることが考えられます。

 それをうかがわせる一文が、メッセージの末尾に残されていました。「活動の目的:より多くの方に福島復興支援活動を知っていただき」というものです。

 セブン-イレブンを装ったキャンペーンのはずが、ここで突然「福島復興支援」が登場。前後の文脈とはまるでつながっておらず、別の用途で使われた文面をそのまま流用したのではないか、と疑わせる内容です。

■ 少額報酬で誘導 「タスク詐欺」と共通する手口

 そこで検証のため、利用者が確実に存在しない架空のID情報とダミーの個人情報を送信してみたところ、「PayPayアカウントが検索できず、報酬の送金が完了できておりません」との返信が届きました。少なくとも、こちらが送った情報をそのまま受け入れるわけではないようです。

 これ以上の検証には実在するPayPayアカウントの情報を相手に渡す必要があります。取材上のリスクを考慮し、調査はここで打ち切りました。

 ここまでの流れは、先に紹介した「企業公式を装う特典案内詐欺」と共通しています。一方、その本質は、近年被害が相次いでいる、いわゆる「タスク詐欺」と呼ばれる手口によく似ています。

 タスク詐欺では、簡単な作業と引き換えに最初は数百円程度の報酬を実際に支払い、相手を信用させたうえで、より高額な報酬を得るための「参加費」などとして送金を要求。さらに「作業を間違えた」「損失が発生した」などと理由をつけ、追加の送金を求めるケースが確認されています。

 今回の相手は300円分のPayPayマネーを付与すると持ちかけてきましたが、記者は架空の情報を使用したため、実際の入金には至っていません。また、その後に金銭を要求されるところまで確認したわけでもありません。このため、全く同じ手口であると断定することはできませんが、少額の報酬を提示してLINE上で個人情報を求めるという流れには、共通する点がみられます。

■ 偽サイトが「熊本地震の復興応援」へ早変わり 善意につけ込む手口に警戒

 なお、本件について「かつや」は公式Xですでに注意喚起を行っており、「これらのアカウントと当社とは一切関係がございません」と否定しています。また、X上で「かつや 最新」「かつや 運営」などと検索すると、同様の不審なアカウントが多数確認できました。

 さらに、本記事の執筆中に同じURLへ再度アクセスしたところ、セブン-イレブンを装っていたページが、今度は「令和8年 熊本地震 熊本へ、応援のことばを」と題した応援メッセージ募集ページへと変わっていました。ページには「くまモン」の写真が使われ、「参加者先着200名にPayPayポイント1000円分プレゼント」とうたって、再びLINEへ誘導する内容になっています。

 被災地を応援したいという善意につけ込みながら、わずか数日のうちにサイトの看板を掛け替えている点も、この手口の悪質さを物語っています。

 また、このサイトへのリンクを掲載していた偽「かつや」アカウントの固定ポストは、その後いずれも削除されていることを確認しました。複数のアカウントでほぼ同時期に同様の動きがみられたことから、一定の連携のもとで運用されている様子がうかがえます。

 そして、同じURLの内容が短期間で差し替えられていたことを考えると、今後も別の企業名や社会的な話題を利用し、同様のサイトへ誘導する手口が繰り返される可能性があります。

■ 「復興支援」も悪用 その時々の話題に姿を変える詐欺

 これは記者だけでなく、ネット詐欺の調査にあたる編集部内でもたびたび話題になることですが、こうした詐欺は、その時々で注目を集めている企業やキャンペーン、さらには災害や復興支援まで巧みに利用します。実際、今回確認したサイトも、当初は一般的なプレゼントキャンペーンを装っていたものが、わずか数日後には「熊本地震の復興応援」へと姿を変えています。

 もちろん、企業などが実際にプレゼント企画や災害復興を支援するキャンペーンを実施することもあります。だからこそ、「プレゼントがあるから怪しい」「復興支援だから怪しい」と内容だけで判断するのではなく、その企画を本当に企業や団体が実施しているのかを確認することが重要です。

 SNS上で「全員プレゼント」「現金・ポイントを配布」といった投稿を見かけた際は、投稿内のリンクをそのままたどるのではなく、企業や団体の公式サイトなどから同じキャンペーンが案内されているかを確認してください。不審なアカウントからLINEへの誘導や個人情報の入力を求められた場合は、そこで一度立ち止まることをおすすめします。

<参考・引用>
全力飯。かつや【公式】(@katsuya__corp)

(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026081802.html