ABS秋田放送

写真拡大

男鹿市の加茂青砂地区に移り住んだ大学生が、耕作放棄地の再生や人が集まる拠点づくりに取り組んでいます。

地域住民や大学の後輩たちも取り組みに加わり、輪が広がり始めました。

その歩みを取材しました。

男鹿市の加茂青砂地区に先月、県立大学の学生たちが集まりました。

耕作放棄地だった場所に野菜の苗を植えます。

新堂秀さん
「本当はね、苗…。種から育ててやったほうが、テレビ映えするんでしょうけど、(笑)ごめんなさい今年はちょっとお試しっていうのもあるので」

先頭に立って取り組みを進めているのは東京出身の大学4年生、新堂秀さんです。

風景や住民に魅せられておととしから加茂青砂で暮らしています。

小学校の校舎だった建物の裏側。

耕作している高台は3年前、雑草が生い茂って手つかずの状態でした。

農業を学ぶために県立大学のアグリビジネス学科に進んでいた新堂さん。

加茂青砂の活性化に向けた大学の調査・研究に参加したことをきっかけにこの耕作放棄地を知りました。

農業への思いを形にできる場所。

新堂さん
「ちっちゃい時に家族で家庭菜園やったのがきっかけで、面白いなというのは持っていて。でこう小学校終わりぐらいですかね、将来何するかって考えた時に農業っていうのは自然と浮かんだというか」

大学の仲間などの手も借りながら少しずつ進めてきた畑の整備。

「これ…いやー。この辺とか。クワ入れたら。そうしたらまだ出てくる茎が」

新堂さん
「自分の一番理想としてはここを、加茂に来てくれた方の農業体験の場所にしたくて、気軽に誰でも来られて、収穫体験とか。土をこう触る体験とかしてもらえるような場所になればなと思っています。ちょうど小学校の裏で昔人が集まっていたこの場所でまた新たに農業を通じていろんな人が集まって、一緒に農業をしていくっていう」

雑草を取り除いては耕す、地道な作業を繰り返しました。

新堂さんは、加茂青砂の別の場所にある耕作放棄地の再生に取り組む、「境界なき土起こし団」にも加わっています。

地区の内外の人たちで2023年に結成された土起こし団。

新堂さんは去年春、2代目の団長に就任しました。

新堂さん(団長としてあいさつ)
「地域の輪を広げて行ったりとか、農業の魅力を皆さんに分かち合って共有して。こういう体験をしていければいいなと思っています」

土起こし団のメンバーや学生たちと力を合わせて、イベントも開催。

食事は加茂青砂の住民の力も借りて作りました。

県産食材をふんだんに使ってふるまった料理。

新堂さん
「メインはやっぱりこう新米。ということで。この土起こし団の副団長をされている佐々木さん。県北の方でお米を作られていて、そこのあきたこまちを使用しております」

土起こし団のメンバーも一緒になって収穫した恵みを味わいました。

イベントは旧小学校の校舎でも。

客も住民も、そして運営側も一緒になって盛り上がり、楽しみました。

新堂さん
「こういうイベントは定期的に年に何回か、開催して、んで大々的に人を外から。んで住民の方々との交流の場所にするっていうのと、それと並行して常に人が集まる場所っていうのを加茂青砂に作っていくのが次のステップかなと思っているので」

新堂さんは地区に点在する空き家の一つを改修して暮らしています。

やがてはここを民宿にして人が集う拠点にしたい考えです。

豊かな海と山々に囲まれた環境。

それに、住んでいる人たちの魅力にひかれて、住み続けることを決めている新堂さん。

機会を見つけて加茂青砂のことを後輩たちにも伝えてきました。

取り組みに加わってくれる人たちが少しずつ増えてきています。

アグリビジネス1年 三浦陽栞さん
「4月に、研修会みたいなのがあって、その時に新堂さんがお話に来てくれて、それで、ちょっと面白そうで、興味持って声かけて参加させてもらっています」

アグリビジネス1年 関口宗浩さん
「オープンキャンパスで新堂さんの話聞いて、もう絶対一緒にやりたいなと思って、夏の時に声かけさせてもらって、この大学に入って一緒にやろうと思って。無事に入学できて」

アグリビジネス1年 田代つららさん
「“後から組”で、ここ2人がめっちゃ楽しそうで、で、せっかくこういう耕作放棄地もなんか、いい活動だと思ったので参加しています」

住民たちも輪に加わっています。

この日は地区の副区長やまもなく99歳になる最年長の男性も駆け付けてくれました。

佐藤勝美さん
「これからこっちのほう。いやー。根っこばっかりなんだ」
新堂さん
「うーんこっちですよね」
佐藤さん
「なぁ」

地区の先輩たちからかつての加茂青砂とこれまでの歩みを学びました。

佐藤さん
「この上にも畑あるためにな」
新堂さん
「あっちと下と」
佐藤さん
「みんなこっちさ、んだ、畑いっぱいあったんだものよ」
新堂さん
「意外と広いですよね」
佐藤さん
「んだどもほれ、やぶなためになかなかやれねんだ。そして今こうしてみんな年いってばっかりだからな。やれねあんだ。畑」

佐藤さん
「だからいい時いいったって悪い時は悪いあんだ」

今の人口は80人足らずで住民の平均年齢約75歳です。

耕作放棄地の再生から続いていく“人が集まる場所づくり”。

新堂さんと学生、そして住民たちが力を合わせた取り組みが、少しずつ花を咲かせようとしています。

※7月30日午後6時15分のABS news every.でお伝えします