先制点を挙げた佐野。日本はブラジルを相手に1-2で惜敗した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 きっとブラジルの知人、友人は言うだろう。

「日本は強くなった!」

 そして、その言葉は7年前に行なわれた2019年のコパ・アメリカでも聞いた。それは変わらない。

 90分+アディッショナルタイムで犯した自陣でのミスからの失点によって敗戦した事実。ブラジル国民であったら許される事ではなく、ブラジル国民の言う「日本は強くなった」は自国で起きた事であったら、全く許されるサッカーではないのである。
 
 そして、我々日本のサッカーは93年ドーハで起きた敗戦により進歩が10年遅れたと言われるが、今日のこの敗戦もまた日本のサッカーを大きく進歩を遅らせる事になるのか?

 それとも、この敗戦は敗者ではなく、勝者のメンタリティーが宿り、本当に世界で勝ち抜く評価をされ続けるのであろうか?

 僕はただ、「日本サッカーおめでとう」と大会を締め、また新たなステージに向けて「努力」するしかないのだ。

 そして今大会で見せた日本の団結力は間違いなく世界一のまとまりであったが、ベンチ選手の役割は出ている選手への叱咤激励、サポートで評価されるものではない。交代で出場して、あくまで「ピッチの中で何が出来たか」がプロプレーヤーとしての役割でもあり、この後、日本サッカーをより発展させていくための課題となるのだと思う。

 しかし、昔、故イビチャ・オシム監督が勝つことより難しいのが、チームが出場していないベンチ外の選手までもがモチベーションを持ってトレーニングから取り組むこと。それは勝つことより難しいことであり、サッカーにとって大事なのだとJリーグのジェフ千葉で監督をしていた時に言っていた。

 その難しいことを今大会はやり切り、どの国も我ら日本代表を脅威に感じていた。そしてオランダもブラジルも、その日本戦の苦しい試合内容、結果には一定の満足感、納得感を抱いていた。それは今までの日本サッカー史では考えられないことが起きたのである。

 南野拓実、三笘薫の両選手が怪我で大会にエントリーされず、大会前には遠藤航、オランダ戦後には久保建英が怪我で戦列に加われなかった。

 スウェーデン、ブラジル戦での1-1の状態から“勝ちに行くため”の攻撃力を考えれば、サイドが攻守に忠実に走り続ける戦術、システムを引く日本としては、やはり「タレント」「戦力」が足りなかった…。

 しかしそれを一切、言い訳にせずに戦い続けた監督、コーチングスタッフ、選手たちは素晴らしかった。

 だからこそW杯をベンチで経験した若い選手たち、出場機会に満足できる時間をもらえなかった選手たち(塩貝、後藤、町野、小川)が2030年W杯に向けてどれだけリバウンドメンタリティーを持ち、海外、国内のリーグで、いかに普段のトレーニングから良い準備ができるか?

 そして日本のストロング、団結力を維持しながら個人のスキルを磨き、質(クオリティー)を高められるか? サッカーの魅力であるマイボールを走らせるスタイルを確立できるか?

 今回のチームが日本最強ではなく、ここからが、そして4年後が、また未来が最強になるための第一歩だったらと、歩みを止めず前進し続けられるか?

 オランダに引き分けて、グループを突破し、ブラジルと接戦に持ち込めた日本は立派だし、我々日本人としてサッカー人として、こんなに誇らしげな時間はなかった。

 そして僕がプロになるために18歳で渡った国、ブラジルと決勝トーナメントで最後までどうなるか分からない展開で戦い続けた日本代表ファミリーに感謝だ。

 その感謝とは現地で応援、後押しできたサポーターの人たち。日本で時差があっても応援し続けたサッカーを愛する人たち。もちろん、彼らも含めてだ。

 それでも、まだ何かが足りなかった日本のサッカー界。何が足りなかった? 僕はもっとサッカーへの愛が必要だと思う。日本におけるサッカーが、もっと文化として国民に浸透していくために、「プロのサッカーとは」を知ることが必要だろう。

 そして、サッカーが国技になる環境を作っていく。そうして初めて、国民誰もが本気で優勝を意識し、本気で頂点を狙うメンタリティーになる。

 そこは日本にはなく、ブラジルにあった所であろう。

 明日、すぐには変わらない。しっかりコツコツと時間を掛けて世界のサッカー王国・日本を築きあげようではないか…。

 夜中2時キックオフ。試合終了4時過ぎ。

 寝られるわけがない。

 悔しいが、日本のワールドカップが終わった。

2026年6月30日
三浦泰年

【三浦泰年の情熱地泰】充実の選手層で掴んだ2位通過。ブラジル撃破で「僕のW杯を終わらせてくれ!」